コネクト~異世界へ~
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「疲れてるのに、ごめん。少し話良いかな?」
「全然大丈夫よ!まあ、座って!」
エイトを部屋に招き入れて適当にあった椅子に座ってもらう。
本当はお茶でもあると良いんだけど……。
あんまり設備のいい宿屋じゃないようで、そんな気の利いたものはなかった。
私もベッドに腰かけてエイトからの言葉を待つ。
「明日……君を待つ、ってさっきは言ったけど……本音を言うと僕もルシアが同行してくれたら良いなって思ってる」
エイトのこの言葉はとても意外だった。
少なからず、向こうは私を警戒しているように見えたのに。
ゼシカはきっと魔法の使い手だから、なんとなく同業者だと思って私を旅に誘ってくれたのだろうと勝手に考えていた。
「ルシアって剣の扱いもできるの?」
「え?な、なんで?」
「見るつもりはなかったんだけど、さっき話してる時にちょっと見えちゃって」
そう言ってエイトは苦笑しながら私の荷物を指さした。
「少しは……でも、今は……」
輝く古の文字が刻まれた両手剣を取り出しながら私は溜息を吐く。
賢者のままじゃこれを振り回す事なんて到底できない。
アストルティアに戻れればそれも可能なのに。
そんな事を思いながら柄に収められていた剣を抜くと私は違和感を覚えた。
いつもはズッシリと重みを感じてまるで手に馴染まない筈なのに。
魔法職に身を置いている今でも普通に剣が持てた。
「ルシア……重ね重ね悪いんだけど、ちょっと特訓付き合ってくれないかな?町の外に出る用事があって……そのついで」
「え?う、うん……良いけど……」
エイトは私と刃を交えてみたいのだと直感で分かった。
でも、申し訳ないけどこの両手剣を携えた私に今のエイトでは相手にならない。
少し考えて私は荷物の中から一本の片手剣を取り出した。
「こっちで良いかしら?両手剣を持つ元気はちょっとないから……」
「うん、全然いいよ。ありがとうね」
この片手剣ははっきり言って見た目だけのナマクラだ。
確か、何かのイベントで交換して貰ったこれまた別世界の伝説の勇者の剣のレプリカだったし。
ちょっと外へ行くだけならきっと魔物に遭遇することもないだろうと思って
私は荷物をそのままにして部屋を出た。
勿論、施錠もしっかりとした。
ポルトリンクを出て、少し離れた場所に馬車が止まっていた。
荷台の中から緑色の生物が顔を出してこちらの姿とらえるなり、嬉しそうに手を振りだす。
「あれってまさか……ドワーフ!?」
「ちょっ……ルシア!」
エイトが止めるのも聞かずに私はそちらへ駆けていく。
「嬉しい!この世界には人間しかいないと思ってたから、まさか私以外にも……あれ、なんか違う?」
近くで見てみると、確かに緑色なんだけれど……
いつもアストルティアで見かけるドワーフとは大分特徴が違う。
「ドワーフ?なんじゃそりゃ!ワシは王様じゃぞ!」
「あ……た、大変失礼しました!」
そう言えばエイトは呪われた王様とお姫様と一緒に旅をしているって言ってたっけ。
呪いって、この姿の事か。
あれ?なんかどこかで訊いたような話だなぁ……
確か呪いでワカメ王子に姿を変えられた王様がどこかの国にいたような……。
まあそれは置いといて。
「初めまして、ルシアと申します。事情は少しですがエイトから聞き及んでおります」
王族との謁見なんてすっかり慣れているのでいつもの様に挨拶をして見せると、緑色の王様は感心したように頷いた。
その様子を確認して私は胸中で安堵する。