コネクト~閉ざされた刻~
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翌朝、私は商人のおじさんに聞いた通り、北へ北へと進んでいった。
トロデーン城が近づくに連れて周りの気配が異質な物へと変わっていく。
時折遭遇する鬱陶しい魔物を払い除けつつ、やっとの思いで城壁へとたどり着いた。
「中には……入れそうにないか……」
門はしっかりと閉ざされている上に、茨が絡みついていてとてもじゃないけれど中へ侵入していく事は難しそうだった。
折角ここまで来たのに、立ち往生?
いっその事、この門を壊して……
何てことしたら、絶対あとで叱られるだろうし……。
暫く考え込んだ後、私は愛用の杖を手にして城門を見上げていた。
地面に魔法陣を展開して、ありったけの魔力を引き出す。
「王様、ごめんなさい!次会えたらきっと弁償します……!」
小さく息を吐いていざ呪文を唱えようとした刹那、何者かに背後から体を倒されて術が途切れてしまう。
「いたたっ……何……?」
強打した膝に手を添えてつつ顔を上げるとそこには見覚えのあるバンダナが……。
「もう!何しようとしてるの!」
「うそっ……エイト!?」
どうしてここに?
今頃は船をどうにかして海に出た頃だと思ってたのに。
色々言いたかったけど、びっくりしたせいで何一つ言葉が出てこなかった。
「……あの、私……」
地面に座り込んだままたじろいでいると、エイトは優しく笑って私に手を差し伸べてくれた。
「これでもみんな心配してたんだよ?……また会えて良かった」
「えっ……」
エイトの手を取るべきが迷っていると、向こうから私の手を掴んで引き上げてくれた。
「今、ここ壊そうとしてたでしょ?それはちょっと困るから……」
「ご、ごめんなさい……」
大人しくエイトに詫びると後からやってきた王様やゼシカ達の方に駆け寄って、思い切り頭を下げた。
「この度はご迷惑おかけして申し訳ありませんでした……」
「俺の方こそ悪かったな……つい当たっちまった」
「ルシアが無事でよかった!心配したんだからね!」
「城壁の方も破壊されんで済んだしの。エイト、よくやったぞ!」
「流石兄貴でげす!」
それぞれの個性的な出迎えを受けて私は今一度自分の行いを反省しつつ、胸の中に湧き上がる感情に戸惑っていた。
みんなと再び合流できて、こんなに安心するなんて。
門を塞いでいた茨をゼシカに焼いてもらい、王様が懐から銀色の鍵を取り出してエイトに渡す。
エイトがその鍵を使って開錠すると、重たい音と共に門が開き、トロデーン城がその姿を見せた。
「美しかった我が城のなんと荒れ果ててしまった事か……」
悲しそうに辺りを見回す王様とお姫様。
二人の辛い気持ちが痛い程伝わってきた。
朽ちた自分の故郷を見るのがどんなにつらい事か。
私もエテーネの村に漸く帰り着いた時、分かってはいたけどその惨状に泣き崩れたくらいだから……。