コネクト~閉ざされた刻~
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「あの程度のモンスターにあれだけ手こずってて、ドルマゲスを倒すなんて無謀だわ。私だっていつまで此処にいるのかわからないの!だから……貴方達が自分達だけの力でやっていく事こそが最善の策よ!」
それだけ一気に言い切ると、私は宿を飛び出した。
こんな事して馬鹿みたい……。
言い返さないで素直に謝っておくんだった。
ドルボードを展開して闇雲に道を走る。
夜風が少しずつ心と身体に宿った熱を醒ましてくれた。
宿を飛び出してどれくらい走ったのかわからない。
気付いたら打ち棄てられた大きな船の前に来ていた。
これって……今探してる船?
海から離れた荒野の中心部に佇むそれは、まるでまだ生きているかのような生命力が感じて取れる。
どこか寂しく見えるこの風景は船が海を恋しがっているのかもしれない。
月明かりが船と私を優しく照らす。
まるで、この世界にたった一人取り残されたようなそんな気持ちになった。
……私、一体どの辺りまで来てしまったのかしら。
地図を持っていないし、辺りは真っ暗だし。
胸中を不安が取り巻き始める。
完全に自業自得なのだけれど……。
まぁ、いつもなんとかなってきたから今回もきっと大丈夫よね。
エイト達がいなくったって、私はやっていけるのだから。
向こうだって私がいなくても大丈夫な筈だ。
元々私はここにいるべき人間ではない訳だしね。
ドルボードを発進させて、私は高所を目指して進んでいく。
とにかく此処を出て、今後の事を考えよう。
道を走っていると、潮風が吹いている事に気が付いた。
この近くに海があるに違いない。
「明かり……?」
やっと海辺が見えてきたと思ったら、建物が見えた。
もしかしたら泊まらせてもらえるかも!
そう思って私は入り口でドルボードを降りてそっと扉を叩いた。
程なくしてシスターが扉を開けてくれた。
「まぁ……こんな夜更けにお客様だなんて!」
「夜分にすみません……こちらで休ませていただく事は出来ますか?」
「勿論です。お疲れでしょう、どうぞ中へお入り下さい」
親切そうなシスターは私を快く室内へ迎え入れてくれた。
建物の中は教会なのだけど、奥の部屋が宿になっていて。私の他に旅の商人が一人宿泊している様だった。
「お嬢さん、こんな所にお一人で……?」
私が椅子に座って寛いでいると、商人のおじさんが声を掛けてきた。
私は軽く会釈をすると、手に持っていたカップを机に置く。
「ここからもっと北の方に行くとトロデーン城っていうお城があるんだ。まさかとは思うけど、お嬢さんもそこへ行くつもりかい?」
「トロデーン城……?」
もしかして、王様達のお城の事?
王様、エイトにトロデ王って呼ばれてたものね……。
商人のおじさんはどこか浮かない顔をしたまま話を続ける。
「あそこには行かない方が良いよ。魔法の鍵があるって噂を聞いたから遥々行ってみたものの……まるで呪いの城の様だった」
「呪いの城……」
もしかしたらそこで強い力が働いたのかもしれない。
強大な力は時に空間を歪めてしまう事がある。
つまり、アストルティアへ帰る手がかりが何か掴めるかもしれない。
どうせ宛てのない旅路だもの、行ってみる価値はあるよね。