コネクト~想いの欠片~
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「これは……?」
不思議そうに指輪を眺めていたゼシカに私はその効力を説明する。
「ソーサリーリングって言って、魔力の回復を助けてくれる物なの。良かったら使って」
昔は散々あの指輪にお世話になっていたけれど、最近ではただの荷物になってしまっている。
アストルティアでは武器や防具の貸し借りはできないのだけど
こちらの世界に来てからはその制約を感じられなくなっていた。
「ありがとう!」
指輪はゼシカの指にぴったりと収まった。
満足気にそれを眺める彼女を見て、私も少しだけ笑う。
「さぁ、休憩はおしまい!先を急ぎましょう!」
魔力が回復して身体の怠さが少し抜けたのか、思い思いに休んでいたみんなが立ち上がった。
その後も戦闘を繰り返しながら、なんとか宝箱の前までたどり着く。
ヤンガスが先陣を切って宝箱を開けようとすると、急に宝箱がカタカタと震え出した。
「ヤンガス!離れて!!」
嫌な予感がして私は咄嗟に叫んでいた。
すると、宝箱は魔物に姿を変えてヤンガスに襲い掛かっていた。
何なのあれ……!
パンドラボックスでもなく、人食い箱でもなく……新種!?
ヤンガスはなんとか直撃は免れたものの、多少傷を負った様だった。
すかさずククールが回復を挟み、事なきを得る。
「コイツを倒さないとビーナスの涙は手に入らないのよね!だったら……!」
ゼシカがメラミを打ち込むけれど、あまり効いていなさそうだ。
魔法、打撃共に耐性があるようで、思うようにダメージを与えられない。
そのくせ攻撃力だけは無駄に高く、徐々にみんなを衰弱させていった。
「……うん、わかった!」
「ルシア……?」
ククールと一緒に回復に徹していた私は両手杖を手放し、代わりにブーメランを手にする。
ククールに手当てをしてもらっていたエイトが心配そうに私を見上げた。
「大丈夫、上手くいくと思うから」
耐性があるなら、それを下げてしまえばいい。
さっきゼシカがルカニを掛けていたけれど、それすらも効いていなかった。
ならば、やることは一つ。
「ヤンガス、離れて!」
手にしたブーメランが輝きを放ちだす。
私の声を聴いたヤンガスが後退したのを確認すると、私は思い切り敵にそれを放った。
「デュアルブレイカー!」
巨大化した二枚のブーメランが敵を切り裂く。
攻撃自体はあまり通っていない様だけれど、敵の身体を黒いモヤのようなものが漂い始めた。
「一体何を……?」
回復を終えたエイトが隣に並んでこの状況を捉えようと私に問いかけてくる。
「悪い効果をかかりやすくしてやったの。更に……!」
手元に戻ってきたブーメランが魔力によって形を変えたのを確認すると、再びそれを手の内から放つ。
鋭い刃物を纏ったブーメランが敵の体内に吸い込まれるようにして硬い胴体に傷を負わせた。
「これで、いける……!」
レボルスライサーが決まった事を確認した私は淡く光を放つ敵の傷口を指さし、みんなにそこを集中して狙うよう合図をした。