コネクト~想いの欠片~
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泣いている場合じゃないのは分かってる。
私はなんとかみんなと合流できたけど、お姫様の方は既に人手に渡ってしまっているのだから。
幸か不幸か、お姫様を買っていったのはヤンガスの知り合いの人らしい。
酒場で嘆き、酔い潰れていた王様を回収し、私たちはその知り合いの人の住居へ向かう。
パルミドから少し離れた所に立派な家が建っていた。
なんとなくだけど、同じ盗賊でもあの町に住んでいる人たちとは違うのだなと思った。
門番の人とヤンガスが揉めだすと、家の中からそれを制止する女の人の声が響いた。
みんなが女の人、ゲルダさんと話をしている最中、私は家の隣にあった倉庫の様な建物の中にいたお姫様に会いに行っていた。
お姫様の足は鎖で繋がれていてとても連れ出せそうにない。
「ああ、良かった!ご無事で何よりです……!ごめんなさい、私が非力だったから……こんな事に……」
私は真っ先にお姫様に詫びる。彼女は首を横に振った後、私の肩に頬を寄せてきた。
幸いな事に、お姫様は割と丁重な扱いを受けているようで一安心した。
と、家の方からヤンガスの大きな声が聞こえてきた。
お姫様に必ず助けるからと約束を取り付けて私はそっと家の中を覗いてみた。
「ビーナスの涙って……お前、まだあれを……」
「ビーナスの涙って、あのハナミズ……」
「ハナミズ?」
私の独り言を聞きつけて怪訝そうにこちらを見てくるゲルダさんに、また余計な事を言いそうになったと、私は自分の口を両手で塞ぎ慌てて首を横に振る。
「なんでもないです、忘れてください!」
実は今、合成途中のビーナスの涙を所持しているのだけれど、これで解決してもらえるのだろうか。
けれど、話を聞いていると現物を渡せば済むという問題でもないようで。
(もしかして……ゲルダさん、ヤンガスの事が……?)
一見冷たくあしらっている様に見えるけれど、所々に愛情が垣間見える。ような気がする。
ククールとゼシカもきっと似たような事を考えているのだろうか、どこか微笑ましく二人のやり取りを見守っていた。
取り敢えず、宝石を持ってくればお姫様は返してもらえるかもしれないから私達はビーナスの涙が眠る洞窟へ行かざるを得なくなった。
宝箱に入ってるなら案外簡単に取れるかも。
アストルティアのビーナスの涙はアモデウスっていう強敵を何匹も倒してやっとの思いで手に入れるような代物だから。
それをやれ!って言われるより、洞窟にあるから取ってこい!の方が幾分も楽な様に感じた。
洞窟に到着するなり、少し離れた所に宝箱が見えたのだけど。
直ぐには取らせてもらえないらしい。
「……うわぁ、あそこまで歩き回るのね……」
ゼシカが些か疲れた顔で溜息を吐いた。
「何か罠が仕掛けられているかもしれないから、気を引き締めていこう」
エイトの呼びかけにみんなで頷き合うと、私たちは知恵を出し合いながら奥へ奥へと進んでいく。
普段から人が寄り付かなくなっていたせいか、洞窟は魔物の巣窟と化していた。
頻繁に戦いになるせいか、みんなの魔力も底を尽きかけていた。
「はぁ、私もうダメ……」
「おいおい、しっかりしろよ……あ。」
行き止まりの部屋の真ん中でしゃがみ込むゼシカに回復魔法を施していたククールだったけれど、癒しの光が段々と弱々しくなっていき、しまいには消えてしまった。
「はい、これどうぞ」
私は常備していたようせいの霊薬を取り出し、みんなに手渡した。
「綺麗……ひょっとして、魔法の聖水?」
「聖水よりも効きがいいと思う」
みんなが瓶に入った液体を飲み干すのを確認してから、私は荷物の中から一つの指輪を取り出して、ゼシカに手渡した。