コネクト~想いの欠片~
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頭の中に姉の顔がふと、浮かんだ。
こんな所でこのまま折れてはいけない。
ずっと探し続けていた姉に漸く辿り着きそうだというのに。
敵の手に落ちた神の器達の行方も追わなくては。
「おいっ、大人しくしてろ!」
急に暴れ出す私を男たちがすかさず抑えにかかる。
それでも尚抵抗を続けていると、一人に頬を打たれた。
「ったく!佳くしてやるからじっとしてろ!」
その瞬間、鼓動が高鳴るのを感じた。
この感じは……でも、どうして?
疑問を抱きつつも私は目を閉じて身体の中に満ち溢れる力の流れに意識を集中させる。
全身に力がみなぎっていく。
「なっ……なんだ!?」
私の身体が黄金色の光を纏うのを見て、男たちが後ろに退いた。
私は手足の鎖を断ち切ってそっと立ち上がる。
言葉を封じていた布を破り捨て、先ほどまでとはうって変わって怯える男たちを前にこれからどうしてくれようか考える。
「……よくも好き勝手しようとしてくれたわね?」
身体に漲った力を解放させようと、胸の前に手を翳して雷を生み出す。
そのまま勢いをつけて雷を前方に放出すると、それは竜に姿を変え、建物の壁を破って外へと消え去っていった。
私もその勢いに乗って外へと飛び出すと、お姫様を探して町中を駆けまわっていたのであろうエイト達と鉢合わせた。
「ルシア!?」
「エイト!それにみんなも!」
「一体どうしたっていうの!?」
建物に大きく空いた穴の中には抱き合ったまま黒焦げになり、ガクガクと震えている男たちの姿があった。
「それ……まさか……」
エイトはその男たちと私の手首にくっきりと残った鎖の痕を見比べて、なんとなく状況を理解したらしい。
「さて……きっちりお話を伺わせてもらいましょうか?」
鞭をしならせながらゼシカが男たちに詰め寄ると、二人は更に恐怖に慄いていた。
ゼシカとヤンガスが尋問をしている間、私はエイトに傷を癒して貰っていた。
「本当に大丈夫だった?」
「ちょっと怖かったけどなんとかなったみたいだから……平気」
あそこで運よくビーストモードがチャージされたから良かったものの、もしもあのまま何もできずにいたら……そんな風に考えると寒気がした。
それにしても、何故ビーストモードだったのだろう。
あれは魔物使いの必殺技なのに。
恐怖心と憤りが奇跡を起こしてくれたのだろうか。
「ったく、だから自分が女だって自覚しろって言ったろ?」
治療を眺めながらククールが溜息を吐いた。
「ルシアは確かに強いと認めるけどな、その前にか弱いレディーなんだぞ?その辺ちゃんと自覚しておけって」
「今回ばかりは本当に心配したよ……外に出てみたら姫様と二人して消えてるし、血の跡はあるし……」
「ごめんなさい……でもほら、ちゃんとこの通り自力で脱出して……」
言いかけた途端、ククールが私の肩を強く掴んだ。
私は驚いたのと、先ほどまで味わっていた恐怖の感覚が蘇り、無意識のうちにその手を払いのけていた。
「ほらみろ、酷い目に遭ってたんじゃんかよ……」
「……ルシア、無理しなくていいから……」
愕然とする私をエイトの暖かい癒しの光が包み込む。
心まで染み渡るようなその優しさに涙が零れ落ちた。