コネクト~想いの欠片~
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「うっ……!?」
お姫様の傍らで話をしている最中、いきなり頭部に衝撃を受けた。
「な……に……?」
崩れ落ちそうになる身体を必死に持ちこたえて振り返ると、嫌がり、暴れるお姫様を無理矢理連れ出そうとしている奴が居た。
止めなきゃ、そう思った刹那、全身に布の様なものを被されて視界が途切れる。
「……まだ意識があるのか、どうする?」
「あんまり痛め付けると売り物にならなくなっちまうぜ?」
「もう一発くらいやっとくか。死んだら中身だけ抜いて売っときゃいーだろ」
そんな会話が聴こえてきたかと思いきや、また身体に痛みが走る。
先程の一撃が思いの外効いたのか、私の意識はここで途切れてしまった。
「んっ……」
目が覚めると、暗い部屋の中に居た。
酷く頭が痛い。
所々に灯っている灯りを頼りに、今自分が置かれている状態を把握していく。
手足は……動かない。
動かそうとすると、無機質な音がする。
鎖の様な物で拘束されている様だ。
布と思われる物を咬まされていて、声を発する事も儘ならない。
嗚呼、わたし……誘拐されたんだ。
一緒にいたお姫様は大丈夫かしら……?
そんな心配が頭を過るけれど、今はこの最悪な状況を打開する事を最優先にしなければ。
せめて、腕だけでも自由になれば……
そう思ってもがいてみるけれど、鎖はカチャカチャと音を立てるだけで弛みもしなかった。
と、遠くから話声が聴こえてくる。
「あの……ソッコー売れたな」
「そこいらの馬より……だったからな」
馬って……お姫様の事?
売られたって……それじゃあ、つまりエイト達はまだお姫様を見付けられていないって事……?
焦燥に駆られて、背筋に嫌な汗が流れる。
思えば誘拐されるのは初めての事だ。
足音が段々近付いてきたかと思うと、部屋の中が一気に明るくなった。
眩しさに目を伏せつつも、なんとか顔を上げた。
二人組の男がこちらに近付いてくる。
「おっ、気がついたか?普通の奴ならお陀仏してたかもな」
ゴツゴツとした手が頬に触れる。
なんとか、逃げ出す機会を作れないかと隙を伺う私を男達は厭な笑みを浮かべて見下ろしていた。
「あんた、イイトコのお嬢さんか?あいつらは護衛なのか?」
「スリに遭ってもお仲間に指摘されるまで気づかったもんな?」
さっきの事、見られてたんだ。
つまり、この人達は最初から私に目をつけていたと……?
『気をつけなさいよ?』
昨夜のゼシカの言葉が頭の中に浮かぶ。
いくら戦闘の経験が豊富とはいえ、それは今、この場面では何の役にも立たない事を思い知らされる。
動きを封じられていては、私だって一人の無力な人間に過ぎない。
「結構綺麗な顔してんな」
顔に酒くさい男の息が掛かるのが心底嫌で私は目を背けた。
「こいつ、どうする?最初は売り払おうと思ってたが……ちょっと惜しい気もすんな」
頬にあった手が、身体の線を這っていく。
思わず身体を震わせる私に男達の笑みが深まる。
嫌な予感がした。