コネクト~異世界へ~
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エイトやゼシカはドルマゲスという道化師を追いかけているらしい。
エイトは呪いで姿を変えられた王様とお姫様を元に戻す為。
ゼシカはお兄さんの敵討ちの為。
ヤンガスは……エイトの手助け?で良いのかな。
「ねぇ、ルシアも一緒に行きましょうよ。悔しいけど、貴女が居てくれたら心強いわ」
ゼシカがそう誘ってくれたけど、私は正直凄く迷っていた。
私自身、そのドルマゲスとかいう人に何かされた覚えは全くないわけだし。
「……明日朝一で船を出してもらうつもりでいるから……もし、僕達と一緒に来てくれるなら君も来て?」
エイトが私が困っているのを察してくれたようで、部屋の鍵を差し出しながらそんな風に声をかけてきた。
私はとりあえず頷いておくとそのまま部屋を立ち去る。
エイトから受け取った鍵に書かれた番号の部屋を見つけて私は鍵をあけるとそこへ足を踏み入れる。
閉じていた窓を開けると心地よい潮風が流れ込んできた。
そして、思い出す。
自分がまだ駆け出しの冒険者だった時の事を。
魔法使いとして村を出た時、期待と不安でいっぱいだった。
回復手段は道具に頼らざるを得ないし、何より撃たれ弱かったから誰かの助けなしではここまで歩んで来れなった。
辛いレベル上げの最中、敵の痛恨の一撃をまともに受けた私はそのまま昏倒してしまった事があった。
そんな時、お互い素性も知らない僧侶さんが私を無償で回復して、助けてくれた。
火力さえあればなんとかやっていける、そんな風に思っていた頃だったからその行為にとても驚いたし、凄く救われた。
その日から、私は賢者を目指し始めた。
攻撃も回復も両方こなせる、いつか私を助けてくれた名前も知らないあの人のように、私も誰かの役に立ちたい。
そんな想いを経て、私は今ここにいる。
よし、決めた。
あの人達と一緒に行こう。
思えばこの世界の文字も全く読めないし、独りで彷徨うのは大変そうだし。
エイトと一緒にいればアストルティアに帰る手がかりも見つかるかもしれない。
何より、助けになれるかもしれない。
彼等の迎えるべき未来を妨げない程度にできる限りの事をしよう。
そうと決まれば色々支度をしないと。
幸い荷物は持ってきていたから暫くアイテムとかに困る事はないと思うけれど。
もう一つ、心に決めた事。
自分自身の振舞い方に気を付けよう。
まさかドルマドンを撃っただけであんなに驚かれるなんて。
タコを倒した時のエイト達の反応は私からすれば異常なくらいだった。
私の世界の当たり前は、この世界では違う事なんだってなんとなく思い知らされた。
遠くで沈んでいく太陽は、まるで自分の世界のそれと酷似しているというのに。
お金も使えて、呪文も使えて。
人がいて。
それでもどこか異なるこの世界。
「……やっぱり、反応ないか」
道具袋の中から羽根を生やした白い馬の可愛らしいパペット人形を取り出して腕に嵌めてみたけれど、何にも反応はなかった。
いつも困ってる時は反応あるのになぁ。
独りでガッカリしていると、控えめに部屋の戸が二回叩かれた。
「はーい、空いてますよ」
人形を再び袋の中に押し込みながらそう返事をすると
開いたドアの隙間からエイトが顔を覗かせた。