コネクト~想いの欠片~
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夜明けと共に出発し、昼前には目的地へと到達できた。
王様が嬉しそうに小走り無骨な町中へと入っていく。
「……ここがパルミド……」
ゼシカが昨夜、ここは治安が悪いと言っていたけれど
どうせ喧騒が頻繁に起こるとかその程度だろうと思っていただけに、私はその町中を見て衝撃を受けた。
酒瓶を手に路地に横たわる人々。
町中に漂うお酒の香り、粗末な建物。
正直、レイダメテスの恐怖に怯えていた頃のグレンより酷い状況だと思った。
「さぁ、着いたでげすよ!ここがアッシの故郷のパルミドでがす!」
王様の希望に添い、ヤンガスの案内で私達は真っ先に酒場を目指す。
「あっ……ごめんなさい!」
道中、私は男の人とぶつかってしまった。
反射的に謝ったけど、相手は無言でその場を去ろうとした。
その時だった。
「おい、ちょっと待て」
ククールが男の人の腕を掴む。
え、ちょっと待って!ぶつかっただけだよね?
「大丈夫よククール!ちょっと肩が当たっただけで……」
「ルシア、財布大丈夫か?」
「え?お財布?……あれ?」
ククールに言われて鞄を漁ると見事にお財布をスられていたようだ。
「こいつスリだぜ。ほら、返せ」
「チッ!」
男は悔しそうに私のお財布を放り投げるとそのまま町の奥へと消えていった。
「ったく、油断も隙もありゃしねーな」
「ごめんなさい、ありがとう……」
ククールからお財布を受け取ると、今度はちゃんと鞄の奥の方へ押し込んでおく。
いつもお世話になっている預かり所がないのだから、お金を失くしたら一大事だ。
そしてスリに遭うのも二度目だという事を思い出す。
オーガの大国、ガートラントに初めて
訪れた時に今みたいにスリに遭って、たまたま通りかかった賢者・マリーンに取り返して貰ったんだった。
「元気だして?今度はちゃんと僕も見張ってるから」
肩を落として歩いているとエイトが優しく笑いかけてきた。
いつも思うのだけど、この人の笑顔は本当に癒される。
酒場に着くなり、王様は嬉々として店の扉をくぐり、少し薄暗い店内へと消えていった。
王様を一人放置する訳にもいかず、エイト達も様子見がてら付き添って行く。
私はお姫様とお店の外で待っている事にした。
「……こんな町、お姫様には似合わないね」
綺麗な鬣を撫でながらお姫様に語りかける。
彼女の向けてくる優しい眼差しはエイトのそれとどこか似ていた。
「私もね、呪いでしょっちゅう変なものに姿変えられてるからお姫様の気持ち、ちょっとだけど分かるの。あ、私の呪いは一時的なものだから直ぐに戻るのだけどね!」
よくもまあ、敵も様々な攻撃手段を用意してくるものだと感心してしまう。
ミイラ男にされたり、ムッチーノにされたりと、散々な目に遭ってきたけれどそれはあくまで一時的な話。
こんな風に長期間馬の姿にされるなんて考えただけで悪寒がする。
このお姫様はエイト達がちゃんと元の姿に戻してくれると信じて、旅をしているのだろう。