コネクト~想いの欠片~
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「……私もサーベルト兄さんの仇を討って、兄さんの分まで生きるわ!」
急に立ち上がって決意表明をするゼシカ。
勿論、強がっているんだと思う。
それはこの場にいる誰もが分かっている事だろう。
大切な者の喪失感を癒すことが出来るのは時間だけ。
この事もきっとみんなわかってる。
「……ご飯にしよっか!」
私は立ちあがって調理の用意をする。
火とフライパンと材料さえあればいつでも料理が作れてしまう調理職人の神秘。
けれど、このフライパンが壊れてしまったらどうしようかと考えを巡らせる。
一応、予備はあるけれど新品ではないし……。
その時はその時でまた考えよう。
慣れた手つきで人数分の料理を作る。
本日のメニューはバランスパスタにした。
前にも気になったのだけど、本来は小分けにして食べてるもので……大丈夫かしら。
一応、料理を口にしているみんなの様子を伺うようにしていると、その事を不審に思ったらしいゼシカがこちらを訝し気に見返してきた。
「……さっきからジロジロ見て、どうしたの?心配しなくてもちゃんと美味しいから大丈夫よ?」
「いや、えっと……実はね……」
このまま黙っているのは良くない、そう思って私は正直に話す事にした。
「今みんなが食べてるそれ……能力アップする料理なの。本来は戦闘前に少しずつ食べるものなんだけど……平気なのかなって」
「え……」
私以外のみんなが顔を見合わせる。
怒られる、そう覚悟したけれど、私の不安を他所にみんな笑い出した。
「そうだったの?通りでこないだ魔法の調子が良かったわけね」
「能力も上がって腹も膨らむなんてすげぇでげすな!」
「アストルティアってとこはなんでもアリなんだな。俺も是非とも行ってみたいもんだね」
「なんでもアリって訳じゃないよ?スキルとか魔法は職ごとの縛りもあるし、物価は高いし!」
寧ろこっちの世界の方がよっぱど良心的に思えるのだけれど、これは恐らく隣の芝が青く見えているだけであろう。
一度に出現する魔物の数は圧倒的にこっちの方が多いし。
「私がいつも愛用してる杖だって、すっごく頑張ってお金貯めて買って、さらに見た目の為にもお金かかってるから……ざっと見積もっても1000万くらいかかってるかも」
「「「「1000万!!?」」」」
みんなの声が綺麗に重なった。
アストルティアでは装備一式揃えるのに普通にかかる金額なのだけど、こっちではあまり目にしない金額なんだな、ってこの時思った。
「ルシアって、実はすごいお金持ちなのね……」
「苦労人は報われるんでがすなぁ」
「いやいやいや、特にお金持ちって訳じゃないよ!貯めたの!」
……完全にみんなが私を見る目が変わった気がする。
ゼシカが私に詰め寄って来て、地面についていたオーバースカートの裾を指刺すと「その服はいくらなの?」と訊ねてきた。
低めに言った方が良いか考えたけど、今更金額を誤魔化したところでこの人たちきっと信じないよね……。
「えっとこれは確か……下は400万くらいで、上は600?」
「貴族のドレスだってそんな値段しないわよ!……これから行くパルミドってすっごく治安が悪いって聞くから気をつけなさいよね?」
「肝に銘じておきます……」
ゼシカの忠告を素直に受け入れて私は後片付けをし始める。
空になったみんなのお皿を見てとても幸せな気持ちになった。