コネクト~想いの欠片~
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「もうちょっと気にした方が良いぜ?……手遅れになる前に、な」
「どういう意味……?」
ククールの言葉の意図がよくわからずにいると、それは突然起こった。
ただの遺跡の壁だと思っていた場所に月影で形成された窓が浮き上がっていたのだ。
みんな仰天してそちらに歩み寄る。
「魔力を感じるわ……エイト、行ってみましょう!」
「じゃあ……開けるね」
ゼシカに促されてエイトがそっと窓を開くと、眩い光が私達を包み込んだ。
光が収まり、そっと目を開けるとそこは見たこともない世界だった。
「なんだか水の領界みたい……」
みんなの一番後ろを歩きながら思わず口に出していた。
今日はなんだか楽しい日だ。
幽霊を視たり、満点の星空ではしゃいだり、神秘的な世界に誘われたり。
キラキラ光るアプローチを辿っていくと、小さな建物に行き着く。
エイトがそっと扉を開けると、建物の中には人がいた。
まるで私たちの訪れを予期していたかのように、その人はこちらを見て微笑んだ。
「私はイシュマウリ。月の光の元に生きる者」
手に持っていた竪琴をかき鳴らし、軽く会釈をしてくるイシュマウリさんに私達も頭を下げた。
「ここに人間が来るのは随分久しぶりだ。月の世界へようこそ」
「月の世界……?」
月の世界と聞いて私は思わずコスモスライムの群れに袋叩きにされかけた事を思いだす。
「ルシア……?」
思わず身震いする私をゼシカが不思議そうに見てきたから、私はなんでもないと首を横に振って見せた。
イシュマウリさんは月の光の力で物に宿っている記憶や夢を形にする事ができるらしい。
靴も、服も日々を記憶しているだなんて思ったこともなかった。
これからはもう少し物の扱いに気を付けよう……。
イシュマウリさんはアスカンタの王様を悲しみから救うべく、私達に協力してくれることとなった。
みんなで再びさっき通ってきたばかりのアプローチを歩いていると、イシュマウリさんが急に私に声をかけてきた。
「貴女は少し特殊な方のようだ」
「あ……やっぱり分かりますよね」
多くを語らなくてもこの人には全て見通せているのだろうと私は苦笑した。
「さっきあなたは死んだ人間は生き返らせることができないって言いましたよね。……だけど、奇跡が起こる事もあるんです。私みたいに……」
それは天理に反する事なのだろうから、あまり口にしてはいけないのだけど。
「奇跡……そんな言葉で済ませたらいけないですよね。ごめんなさい、忘れて下さい」
イシュマウリさんはそれ以上何も言ってこなかった。
入ってきた窓から外へ出ると、私たちはアスカンタの城の中に居た。
静まり返った城内を歩き、王座へ辿り着く。
まだ若い王様が椅子にもたれて泣き伏せていた。