コネクト~想いの欠片~
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アスカンタの王様の側近の人に頼まれて、私たちは国王を立ち直らせるべく、願いの丘と言われている場所を目指した。
ただ願っただけで叶う事なんてどうせないと思うけれど、他に方法がないのもあって藁をも掴む思いでみんな足を進めてた。
ヤンガスなんかははなっからこういう話を信じていないようで若干やる気を感じられない。
ククールは割とどうでも良さげ、ゼシカは興味はある感じ、エイトはまあ行ってみよう、というのが私の勝手なみんなのやる気度調査の結果。
丘というだけあってなかなか急斜面の道が続き、段々みんなの表情に疲労の色が滲み出てきていた。
勿論、間に戦闘も挟んでいるワケだから余計に疲れが蓄積されてしまう。
無理をしてはいけないと時折休憩を挟みつつ、私たちはやっとの思いで願いの丘へと辿り着いた。
正直、こっちの世界に来て一番キツイ旅路だなと思った。
「わぁ……すっごく綺麗……!」
満点の星空を目の前にして、私はこれまでの疲れを忘れてはしゃぎだす。
アストルティアにもこういうスポットは確かあった筈だけど、こんなに鮮明で眩く輝く星空を見るのは恐らく初めてだ。
「見てみて!星が手に届きそうだよ!」
上空に手を伸ばしてみるけれど、勿論星なんて指先を掠めもしない。
この空を飛竜に乗って飛ぶことができたらどんなに素敵か。
そんな事を考えていたらいつの間にか私は竜笛を胸に抱いていた。
「ルシア、その笛船で吹いてたね」
エイトに声をかけられて、私は後方に体を向ける。
「そうなのか?俺は聴いてないけど?」
「アンタはまだいなかったんだから、当たり前でしょ!……で、それは一体何なの?」
「これはね、飛竜を呼ぶ為の物なの。こんな風に……」
私は一呼吸おいた後に聴きなれたメロディーを奏でる。
勿論、何もやって来やしないんだけど。
短い演奏が終わるとククールが口笛を鳴らした。
「へぇ、上手いもんだな」
「ほんと?本当に?」
初めてこの笛を鳴らした時、竜の長を務めていたクロウズに散々音色を貶されたものだから、私はそれ以来必死に練習をした。
私的にはちょっと上達したつもりでいたから、今ククールに褒めてもらえてかなり嬉しい。
「レンダーシアで吹くと竜が来ちゃうから自宅でそりゃもう……血の滲むような特訓をしたの。危うく口がタコになるとこだったわ」
「もうなってるぜ?」
「え!う、嘘!」
「ははっ、冗談だよ」
ククールに茶化されて私は思わず口元に当てた手を力なく下げた。
もう、本気にしちゃったじゃない……。
「……ルシアは自分が女だって事、忘れてないか?」
「……え?」
唐突なククールの指摘に私は思わず怯む。
ククールがエイトに同意を求めるように視線を送ると、彼は困ったように笑っていた。
「その、服装とかは女っぽいんだけど……なんていうか、自分の事あんまり意識してないというか」
「そうかも……そういう事、全然考えた事なかったかもしれない……」
思えば走りっぱなしの日々だった。
復讐の為、世界を救う為、そして今も……。