コネクト~想いの欠片~
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格段に速くなった二人の動きだけれど、それでもまだこちらのそれは劣っていない。
エイトの剣を右側で受け流しながら、私はククールの動向を観察する。
また、なにか唱えてる。
「バイキルト」
「なっ……!もう、反則じゃないの?」
文句を言いながら、先ほどとは見違える程重くなったエイトの一撃を受け止める。
私の今のステータスは後衛よりなのだから、いくら自分よりもレベルの低い相手との闘いだったとしても力の差が出てきてしまう。
自分にも能力強化をまんべんなく施したククールがこちらに走って来るのを捉えて私はエイトを引き離して少し距離を置く。
これはもう、どちらか片方をさっさと落とすしかない。
そう判断し、弾かれた反動で態勢を崩しているエイトの横を素早くすり抜けてククールへと特攻していく。
「そっちがそのつもりなら、こっちだって!」
私の背に光輝く透明な羽が生え、小さく羽ばたく。
小さく息を吐きながら、私は剣を振りかざした。
光の速さで剣技を振るうと、ククールが膝を着くのを背後で感じた。
「なんだ今の……反則くせぇ」
そっちは強化魔法使ってきたくせに反則とかどの口が言うのよ。
一応、傷は与えていないつもりだから怪我はしてないと思うけれど。
「隼切りを極めたら出来るようになるよ」
剣を片方柄に収めつつ、私はエイトの剣を再び受ける。
やっぱりと言うか、前に戦った時よりエイトは強くなってた。
「あ……そっか、そういう事か……」
私はエイト達が戦っているのを眺めながらずっと思っていた事があった。
この世界における、スキルの縛りだ。
アストルティアでは固有スキルになってたり、職によって持てる武器の制限があったりするのだけど
こちらに来てからそれをあまり感じない。
それどころか、私は今不死鳥天舞を見舞ってやることができた。
職業による呪文制限はあっても、スキルによる制限はない……?
つまり、向こうで取得してあるスキルなら、職業の制限なしで使える……?
これはもう試してみるしかない。
「反則、いきます!」
私は再びエイトと距離を取り、呪文の詠唱を始める。
イオグランデやドルマドンを警戒したのか、エイトが少し退くのが見えた。
「……マヒャデドス!」
体内の魔力が放出される確かな手ごたえの後に、言霊に反応して呪文が発動される。
巨大な氷の刃が容赦なくエイトに降り注いだ。
「わぁ、やっぱり使える!これは結構嬉しいかも!」
キラキラと宙を舞う氷の粒子を眺めながら満足気に笑う私と、完全に降参モードのククールとエイト。
このせいで眠っていた人たちが起き出して騒ぎになったのはここだけの話。