コネクト~異世界へ~
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船の上で立ち話、っていうのもアレだから一度町に引き返してもらえるようゼシカが船長にかけあってくれた。
町に着くまでの間、私はずっとソワソワしてた。
なんだか首をつっこんではいけない所に介入してしまった気がして……。
さっきエイトが教えてくれたんだけど、この港町はポルトリンクというらしい。
私が知ってるレンドアとはだいぶ違うけれど、それでも私はこの町がとても気に入っていた。
やがて港に船が着くと日も暮れ始めていたこともあって私たちは宿へ向かった。
宿に泊まるのなんて大分久しぶりだった。
自分の家を構えてからは余程の事がない限り必ず帰るようにしていたから。
広めの部屋に通されて、それぞれ椅子に腰かける。
「……それで、だけど……ルシアは何者なの?」
「何者って……に、人間……?」
「そんなの見ればわかるわよっ!そうじゃなくて……」
ゼシカの聞きたい事はなんとなくわからないでもないのだけど……
正直、事情が複雑すぎてどこから話していいのか分からなかった。
それに、常人に話したところで信じてもらえる気もしなかった。
「……友達と、待ち合わせしてて……まだ時間があったから魔法の迷宮に行こうとしたら、ここに行き着いて……」
とりあえず、ここに来た経由だけを述べておこうと思った。
魔法の迷宮という言葉が聞きなれないみたいで、ゼシカが顔をしかめている。
まあ、そうだよね……。
「私のいた世界は……アストルティアっていうところだったの。だけど、ここは……違う、のよね……?」
「アストルティア……?聞いたことないけど……つまり、あなたは何らかの原因でここに来てしまったって事ね?」
「そう、みたい……」
「さっきの呪文、凄かったでげす!ルシアの世界ではあれが当たり前なんでげす?」
「まあ、当たり前というか……私なんてまだまだで……」
謙遜しようと思って、やめた。
エイトとヤンガスはあのタコに苦戦を強いられていた訳で。
なんだか二人を貶してしまうような気がした。
「その杖も立派ね、どこで手に入れたの?」
「こ、これ?これは……」
ゼシカが興味深々、といった様子で机に立てかけておいた漆黒の杖を指さす。
この杖は今、アストルティアの魔法使いや賢者の間で流行っているエンシェントワンドという杖なのだけど。
見た目を常闇の杖にドレスアップしていた。
常闇の竜・レグナードを幾度も倒して漸く集まった素材で手に入れた杖。
これを手にすることは一種の憧れでもあった。
「これは、とても大切な杖なの。仲間と一緒に苦労して手に入れた私の宝物」
「ルシアにとって凄く価値のあるものなんだね」
感心したように笑うエイトに私も笑いながら頷いた。
他にも弓とか剣とか持ってるけど、見せるのはやめておこうと思った。
この人達に対して疑念を抱いてしまう自分が嫌だった。