コネクト~わだかまり~
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ルシアっ!!!」
遠くでエイトの声が聞こえる。
大丈夫、今立ち上がるから……
立ち上がって、あいつを倒して
全部元通りに……
「……!」
態勢を立て直そうとしていた私の頬に鮮血が降りかかる。
ゆっくりと顔を上げると、そこには……
「オディロ院長……!!!」
みんな声にならない悲鳴を上げていた。
オディロ院長の小さな体をあの杖が真っすぐに貫いていた。
私の身代わりに……?
「嘘っ……嘘……!」
怒りが込み上げてくる。
「許さないっ……!」
我を忘れて私は弓を手に取り、標的をドルマゲスに定める。
矢先に闇の魔力を集中させて一気に弓を引いた。
「ダークネスショット!」
闇の力を纏った矢はドルマゲスの肩を掠めてそのままステンドグラスを貫き、虚空へと消え去っていった。
体が言う事を利かず、上手く狙いが定められない。
「これだ……この力だ……!」
一方のドルマゲスは杖に満ちていく魔力を満足気に眺めていた。
オディロさんの命を杖に吸わせたんだ……。
「もうここに用はない。それでは皆さん、ごきげんよう」
「待ちなさいっ……あなただけは絶対にっ……!」
気力だけで弓を引き絞るけれど、身体の方が限界を迎えたらしい。
視界が暗転し、私は力なくその場に崩れ去った。
空が暗くなる。
私は姉と幼馴染と三人で村に帰ろうとしていた。
ああ、またこの夢か……
お願いだからこれ以上見せないで……。
「んっ……」
私が目を醒ますと、真っ先に見えたのは安堵したようなゼシカの顔だった。
「……ゼシカ?」
「ルシア!ああ、良かった!全然起きないから心配したのよ?」
「……そうだ、ドルマゲスは……?」
まだぼんやりとする頭で訊ねると、ゼシカは目を閉じて首を左右に振った。
ああ……逃げられちゃったか。
「それより……ルシア、凄くうなされていたわよ?一体何の夢を見ていたの?」
「うーん……よく覚えてない」
頭を抱えながらそう応えると、ゼシカはそっか、と言って窓から外を眺めていた。
「あ、ルシア!気が付いた?身体は大丈夫?」
果物が入った籠を抱えてエイトがやってきた。
状況を察するにどうやら私は随分長い事眠っていたらしい。
エイトがその間にあった事を簡潔に話して聞かせてくれた。
「あの後オディロ院長の葬儀があったんだよ……これまでの事とかをマルチェロに話して、今戻ってきたとこ。で、これはそのマルチェロから、お見舞いにって」
「あの嫌味男もこーゆー事ができるのね、意外だわ」
毒づくゼシカにエイトと顔を見合わせて思わず苦笑してしまう。
「あの場で唯一奴と互角に……いや、それ以上に戦えたのはあんただけだったな」
いつの間にククールとヤンガスも部屋に来ていて驚きつつも、私は顔を伏せた。
「あんた、一体何者なんだ?」
「私は……ただの通りすがりの旅人で、困ってた所をエイトに拾ってもらっただけよ」
ククールの質問をはぐらかすようにそ答えると、みんなどこか不満気な顔をしていた。
これ以上、隠しておけないか。
私はゆっくりと息を吐いてみんなに自分の事を告げる勇気を振り絞った。