コネクト~わだかまり~
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「私なら大丈夫だ。神の御心なら私はいつでも死のう……だが、罪深き子よ……それが神の御心に反するならばお前が何をしようとも私は死なん!」
オディロ院長の穏やかで、それでいて力強い声が小部屋に響き、緊張感がますます高まる。
首にかけられていたロザリオを突き出してドルマゲスを挑発している……ように見えた。
と、ドルマゲスと戦おうと身を乗り出したエイトが小さな陰に弾き飛ばされるのが視界の端に映る。
「待て待て待てーい!!!」
姿を見せたのはトロデ王だった。
「おっさん、いつの間に!?」
ここにいる筈のない人の突然の登場にヤンガスが小さく飛び上がって驚く。
ゼシカもエイトも目を丸くしていた。
「久しぶりじゃな、ドルマゲスよ!」
「これはこれは……トロデ王ではございませんか!随分変わり果てたお姿で」
「うるさいわいっ!姫とわしを元の姿に戻せ!よくもわしの城をっ……!」
一方的に怒号を飛ばしている王様を気に留める様子もなく、ドルマゲスが手にしていた杖をゆっくりと振り上げると後方に眩い光が拡張されていく。
このままでは殺される。
もう人が死んでいくところを見たくない。
これ以上、誰かの心に辛い記憶を刻みたくない。
私はそんな想いだった。
ドルマゲスの腕が前方に向けられると光の速さで杖が襲い掛かってきた。
「くっ……!」
「……ほう?面白い能力を持っていますねえ」
私は王様の前に立ちはだかって咄嗟に光で紡いだ大盾を展開させる。
それをさも愉しそうに見つめるドルマゲス。
「大魔王の攻撃だってこれで凌いだのよっ……そう簡単に、やれると思わないで……!」
杖の力は想像していたよりも強いものだったけれど、それでも弾き返す事ができた。
杖はゆっくりと空中を漂い再びドルマゲスの手の中へ還っていく。
「大魔王?クックックッ……それはそれは頼もしい。貴女、少しは愉しませてくれそうですね」
こちらも杖を握りしめてじりじりとドルマゲスとの距離を保っていく。
「マホステ!」
先に動いたのは私の方だった。
相手もきっと呪文を使ってくる事を考慮して先手を打っておく。
「それだけですかぁ?もっとやってみせなさい!」
杖から放たれる茨が鞭のようにしなって襲い掛かって来る。
「イオグランデ!」
咄嗟に唱えた呪文で茨を焼き払い、そのままドルマゲスに飛び掛かって真っ直ぐに杖を振り下ろす。
正直、こんな奴に負ける気なんてしなかった。
けれどそんな油断が大きな隙を生んでしまった。
「あっ……!」
ドルマゲスに接近した時、その瞳が怪しく金色に光るのを見てしまった。
途端に体が痺れて意識が薄れていく。
「……う、そっ……」
「悲しいなあ……貴女は充分頑張りましたよ?しかし頑張ってもワタシの力には及ばなかったようですねえ」
ドルマゲスの長い指が私の首に絡みつく。
呼吸ができなくなる。
そのまま私を壁に投げつけてドルマゲスは再び杖を操りだす。
「また邪魔をされたら面倒ですからね……始末しておきましょう」
床に倒れ込んで朦朧としている私に向かって杖が差し向けられる。
なんとかしないと……!
そんな想いはあっても身体は思うように動いてくれなかった。