コネクト~わだかまり~
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緊急事態だからか、見張りの騎士達はみんな出払っている様で見当たらなかった。
私たちは遠慮なく宿舎の方へと進んでいく。
離れ小島へ続く橋の前で騎士達が立ち往生していた。
私はどこか頼りない騎士達の間を縫って、燃え上がる橋の前に立ちはだかる。
「橋が焼け落ちてしまう……!」
「この根性なし!これくらいの炎、どうってことないわ!」
「ルシア……!?」
炎が燃え盛る橋を私が駆け抜けるのを見てエイト達も後へ続く。
そう……こんな炎……
あの時の炎に比べたら……
私たちが橋を渡り終えた時、対岸にククールの姿が見えた。
どうやらマルチェロさんを探していた様だ。
この建物からドルマゲスの禍々しい力を感じとったらしく、橋が落ちるギリギリの所でククールもこちら側に到着する。
「くそっ!鍵がかかってやがる!……あんたら!俺の後を追ってきてくれてたのか……!」
施錠されている扉を蹴りながらククールがこちらに声を掛けてきた。
「悪いがもう一度だけ俺にチカラを貸してくれ!こうなりゃ実力行使だ!みんなで体当たりして扉をぶち壊すぞ!」
みんなでタイミングを合わせて扉に体当たりをかますと、鈍い音を立てて扉が左右に吹き飛んだ。
「おい!何があった!」
中に倒れていた騎士をククールが抱き起す。
その人は既に虫の息だった。
「やつは強い……マルチェロ様もあぶない……」
それだけを言い残すと騎士は静かに息を引き取る。
悪い予感がする。
私は密かにむげんのさとりを入れて魔力を高めておいた。
急いで二階へ駆けあがろうとすると、上から騎士が転がり落ちてきた。
「あの道化師……だれか、院長を……!」
この上にドルマゲスがいるのは明白だった。
頷き合ってククールを先頭に階段を上がっていく。
二階の小部屋にたどり着くと、マルチェロさんがオディロ院長を背中に庇い、ドルマゲスと対峙していた。
ドルマゲスが杖を振り上げるとマルチェロさんが吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる。
「兄貴!」
ククールが急いでマルチェロさんの容態を伺いに傍に駆け寄る。
「やられた……すべてはあの道化師の仕業だ……奴は、強い……ゲホッ」
肺を損傷したのかマルチェロさんが吐血した。
ククールが心配して手を貸そうとするけれど、マルチェロさんはそれを払いのける。
「命令だ……聖騎士団員ククール!院長を連れて……逃げ……」
マルチェロさんの言葉が紡ぎ終わるよりも先に、二人ともドルマゲスによって再び吹き飛ばされる。
「クックック……これで邪魔者はいなくなった」
ドルマゲスの醜悪な笑い声が辺りに響く。
それを聞いて倒れ込んでいたマルチェロさんとククールがほぼ同時に顔を上げてドルマゲスを威嚇した。
「院長には指一本触れさせん……」
「案ずるなマルチェロよ……」
傷ついて尚も院長を護ろうとするマルチェロさんを見遣り、オディロ院長が落ち着いた口調で話し出した。