コネクト~わだかまり~
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「……そういう訳で俺は部屋に戻ります」
それだけ言い捨てるとククールはさっさと部屋を出て行ってしまった。
「……まあいい、あいつの処分はいつでもできる……それより、君たちの目的はなんだ?さっさと白状したまえ」
何度も何度も繰り返される言葉に私は目眩を覚えた。
「だから!アッシたちは何もしてねぇって言ってるだろ!」
いつまでも押し問答をしているわけにはいかない。
荷物は取り上げられてしまっているけど、武器がなくてもきっと魔法だけで太刀打ちできる筈。
何を言っても疑いは晴れないのだから武力行使するしかない。
そんな考えが浮かんだ時だった。
再びノックがされる。
「今度はなんだ」
「修道院の前をうろついていた魔物を一匹捕まえてきました」
「魔物……?」
ドアが開かれるのと同時に王様が蹴倒されて部屋に転がり込んでくる。
それをみた私たちは思わず目を見開いた。
こんな時に……!王様……!
「イテテテテ!!!何をする!」
そのまま広いテーブルの上に乗せられて、辺りを見渡す。
ここは他人のフリをしなければと、みんな思わず王様から目を逸らした。
でもそんな努力も虚しく、私達に気づいた王様がいつもの様に親し気に話しかけてくる。
「ヤンガス、ゼシカ!こんなところで何をしてるんじゃ!」
「あああああっ……もうっ!」
ゼシカが頭を抱えて項垂れる。
私たちは魔物の手下と認識されて益々疑いを深められた上に、明日の夜明けに拷問を言い渡されてしまった。
しかも牢屋に入れられてしまった。
ここから出せと騒ぐヤンガスと脱出方法を真剣に考えているゼシカ。
自分は魔物じゃないと憤る王様。
この状況がなんだか可笑しくて私は思わず笑ってしまう。
「ルシア……?」
「ふふふっ……ごめん、不謹慎だったね。実はね……私、牢屋に入れられるの二回目なの。だからなんだか懐かしく感じちゃって」
初めてグレン城の王様と謁見した時の事だった。
その時もやっぱり濡れ衣を着せられて投獄された。
まあ、すぐに出されたんだけど。
「へぇ?ルシア、何したの?」
「なんにも?その時も濡れ衣だったから」
エイトと座ってそんな話をしていると、急に足音が近づいてくる。
もう拷問の時間?
そんな風に思いつつ、足音の主を確かめようとみんなの視線が鉄格子に集まる。
「こんばんは、みなさん。お元気そうで何よりだね」
「てめえ……!」
姿を見せたのはククールだった。
ヤンガスが鉄格子越しに暴れようとするのを落ち着かせようと、ククールが牢屋のカギと取り上げられていた荷物をチラつかせる。
どうやら私達を逃がしてくれるつもりらしい。
そのままククールについていき、隠し通路に案内されると私たちは漸く外へ出られた。
隠し通路の出口は馬小屋につながっていて、そこにはお姫様もいた。
王様はお姫様を連れて先に外へ行くみたい。
私達もククールと別れの挨拶を交わしつつ外へ出ると……。
「……橋が……燃えてる……!?」
オディロ院長がいる離れ小島に通じている橋が凄まじい勢いで火の粉を放っていた。
「オディロ院長が危ない……!」
そう言ってククールはマイエラ修道院へと引き返していった。
「私達も行きましょう!」
「うん、急ごう……ルーラ!」
「えっ……!?」
予期していなかった事が起こって私は混乱した。
身体が宙に浮いて、空へと放たれる。
すごい……!
ルーラストーンじゃなくて、呪文としてルーラを使っているなんて!
感激している間もなく、私たちはマイエラ修道院へ到着した。