コネクト~異世界へ~
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話を聞いてみると、何やらこれから航路を阻む魔物退治が行われるらしい。
魔物退治……!願ってもない機会!!
「ちょっとっ……そこの船……待ったあああっ!!!!」
「はぁ!?お、お嬢さん!?」
既に港を離れ始めていた船に飛びついてなんか甲板へと行き着く。
「あ、あなた……何なの!?」
「魔物退治があるって聞いて……あっ!!」
戦闘を観戦していたツインテールの女の子が凄い剣幕で私に言い寄ってきたけれど、私は彼女の背後の巨大なタコの魔物に釘付けになっていた。
「あのタコ……水の領海でつついてやった奴……それとも、メイブの親戚かなんか?」
「はぁ?何をわけのわからない事をっ……」
既に戦闘ははじまっているようで、バンダナの少年と小太りのおじさん?がタコと攻防戦を繰り広げている。
「よーしっ、私も……えいっ!」
杖を床に突き立てて自分の周りに魔法陣を展開する。
青紫色に光を帯びたそれを満足気に見やると、私は目を閉じて軽い詠唱を始めた。
「……ドルマドン!」
言霊に反応して魔力が解き放たれる。
魔法陣の力が魔法に合わさって威力を格段に跳ね上げた。
良かった、普通に呪文も使えるみたい。
そう安堵する私とは裏腹に、さっきまで散々私に文句を言っていた女の子が目を丸くして海中へ沈んでいくタコを見ていた。
先ほどまで戦闘を繰り広げていた二人も何が起きたかわからない、といった様子でこちらを振り返っている。
「……あ、えっと……なんか横取りしちゃったみたいで……ごめんなさい!」
なんとも言えない気まずい空気。
「横取りも何も、結構危なかったでげす」
小太りのおじさんの方がバツが悪そうに笑いながら話しかけてきた。
「助けてくれてありがとう」
一緒にいたバンダナ君もお礼を言ってくる。
私はどうしたらいいのか分からず視線を彷徨わせていると、この二人はどうやら負傷しているみたいだった。
「……ベホマラー」
二人まとめて傷を癒すと、私は颯爽と立ち上がってその場を去ろうとした。
だけど、ここは海の上。
そんな時は空を飛べばいいの!
不格好な形をした笛を取り出して、いつもの旋律を吹いてみるけれど
飛竜はやっぱりというか現れなかった。
「……あ、あの……ここ、どこなの?」
三人の怪訝そうな視線が私を射貫く。
そんな時だった。
海面の方で呻き声が聞こえてきた。
さっきのタコ……!とどめをさせてなかったんだ!
私が再び身構えるとタコは怯え切った様子でまた海中へと引き返そうとする。
バンダナ君に静止されて、仕方なくタコの話を聞いてやることにした。
道化師が海を渡っていった……とか
なんかよくわからない事を言っていたけれど、私以外の三人はどこか表情を陰らせていた辺り、その道化師と何かの因縁があるらしい。
「……今度悪さしたら目潰すから」
「ひぃぃいい!!!」
話が終わって再び海中へ潜っていくタコを一喝すると、私は三人の方へ向き直った。
「話を戻したいところだけど……お互いの素性を知らないままで話しても困っちゃうわよね。自己紹介するわ、私はゼシカ。あなた達は?」
「アッシはヤンガスで、こっちの兄貴が……」
「僕はエイト」
三人がそれぞれ自己紹介を済ませると、こっちに視線が集中した。
これは私も名乗らないといけない空気……よね……。
「私はルシア……って言います」