コネクト~わだかまり~
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あの日の記憶が蘇る。
炎に包まれた村の中で横たわる人々。
そして……
「いやっ……や、めてっ……!」
「ルシア!?ルシア!しっかりして!」
「……はぁっ、はぁ……」
エイトの声で私は正気に戻った。
嫌な汗が背中を伝っていく。
あの亡霊とは既に戦闘が始まっているようで、ヤンガスとゼシカがそれぞれ攻撃を開始していた。
「顔色が悪い……大丈夫?」
「エイト……ごめんなさい、足引っ張っちゃって……」
エイトの温かな手が私の肩に触れる。
その温もりに私を蝕む悪夢は再び息を潜めていった。
「もう大丈夫、戦える……!」
自分に言い聞かせるように立ち上がると、私は両手を上空へ掲げて光の雨を降らせる。
これはいやしの雨といって、受けた傷を少量だけれど回復してくれる賢者の専用特技だ。
そんな私を見届けたエイトが剣を抜いて攻撃を加える為にゼシカ達の方へと駆けていった。
私も杖を手に取って後方から支援を行う。
程なくして戦いは終わり、亡霊は召されていった。
今度こそ、安らかに眠れますように。
亡霊と戦った場所から少し奥へと行った所に梯子がかけられていた。
そこを登っていくと、あの離れ小島の裏手と思われる場所に出た。
地上に這い上がった時、外がとても眩しく感じて私は目を細めていた。
「見て!あいつらやられてるわよ!」
「これは急がないとやばそうでげすな!」
橋の上で見張りをしていた警護の人が倒れていた。
私たちは急いで建物の中に入ると、そこにも何人かの人が倒れていて。
「誰かっ……院長様を……!」
駆け付けた私達を見るなり、倒れていた男の人が上に続く階段を震える手で指さしていた。
私たちは階段を駆け登り、二階へと急ぐ。
ステンドグラスが張られた小さな部屋の奥にあるベッドでヒゲを長く生やした老人が眠っていた。
その老人を上空で見下ろす禍々しい道化師。
こいつがドルマゲスなんだってすぐにわかった。
ドルマゲスは私達に気づくと一瞬こちらを振り返って嫌な笑みを浮かべ、そのまま消えてしまった。
間に合った……?
それとも……。
みんなでオディロ院長が横たわるベッドに近づくと、その気配を感じ取ってか院長はゆっくりと上体を起こした。
「……なんだ?この禍々しい気は……きみたちは?何の用かね?」
良かった、何事もなかったみたい。
みんなで内心ほっとしていると下からバタバタと騒々しい足音が聞こえてきた。
凄く、とてつもなく嫌な予感。
「いたぞ!こいつらだ!オディロ院長の命を狙うとはこの罰当たりめっ!」
やっぱり。
思い切り濡れ衣を着せられてしまった。
どうする?強行突破する?
イオグランデで吹っ飛ばせば多分余裕で抜けられるけど
そんな事をしたら疑惑が真実に変わり兼ねないからやめておこう。
「違うんです、僕達は……!」
「誤解でがす!」
「オディロ院長……聖堂騎士団長マルチェロ、御前に参りました」
必死に弁解しようとするエイトとヤンガス達には目もくれず、騎士達の合間を縫ってやってきたのはマルチェロさんだった。
彼の姿を見るなり院長の表情が少しだけ穏やかになる。
マルチェロさんはちょっと性格悪いと思うけど院長には信頼されてるのね……。
マルチェロさんが一連の流れを説明した後、オディロ院長が私達を庇ってくれたりもしたのだけど
マルチェロさんは私達を疑っているようでそのまま尋問室へ連行されてしまった。