コネクト~幽玄の園~
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「ちょっとルシア、何ニヤニヤしてるのよ?」
「ニヤニヤしてた?ごめんごめん、微笑ましい光景が見れたから、つい」
「何が微笑ましいのよっ!」
これっていつもと形成逆転?
こんな感じの話題でいつも散々弄り倒されて来たし、もしかして復讐のチャンス到来?
ククールの方も満更でもない様子だし、美男美女でお似合いのカップルだと思うんだけどなぁ。
「なんていうか、絵になるなぁって思って見てただけだよ?」
「……後で覚えてなさいよっ」
顔を赤くしたゼシカは肩を怒らせて、くるりと私に背中を向けるとズンズン先へ進んでいく。
「あんまり急ぐとまた転んじゃうよ?」
「う・る・さ・い!!」
心配半分、揶揄い半分にそう言葉を投げかけると、少しだけ此方を振り返ったゼシカが気持ち歩みを遅めた気がした。
先ほど滑って尻餅をついたのが効いているようで、同じ過ちは繰り返したくないらしい。
場所も場所だし、これ以上は刺激しないでおこうと私も黙って後へ続く。
「……ねぇ、アレ!」
暫く奥へ進んだ所でゼシカが足を止めた。
何かを見つけたらしく、一定の方角を指さしている。
足元に気を付けつつ、私もエイトと達と一緒に其方へ駆け寄る。
「グラッドさん……?」
男の人が俯せになって倒れているのが目に入り、みんなで慌てて駆け寄る。
ククールが容態を確認しようと手を伸ばすと、僅かに呻き声が聞こえてきた。
「なんとか生きてるみたいだな」
「もしかして、グラッドさんですか?」
エイトが声を掛けると、意識が戻ったのか彼は瞳を開けた。
長時間洞窟に閉じ込められていた弊害か、寒さにやられ身体が冷え切ってしまっているようだ。
震える手でククールの腕を掴み、掠れた声で何かを言っている。
「いかにも……私はオークニスの薬剤師グラッド……。この洞窟で薬草を採取していたらオオカミ共に襲われて……」
ここに来る道中何度かオオカミの魔物と遭遇はしていたけれど……。
もしかして、グラッドさんを探していたのかな?
私がそんな事を考えている間に、エイトがメディさんに頼まれてグラッドさんを探していた事を簡単に説明し、預かっていた布袋を差し出す。
「そうか、薬師メディが……。すまないがその袋の中身を空けてくれないか……?」
グラッドさんは中に何が入っているのかを既に知っているようで、エイトが言われたとおりに袋の中身を取り出す。
袋の中身はヌーク草だった。
エイトの手の中にあるヌーク草を受け取ると、グラッドさんはそれを口に放り込み、飲み込んだ。
「くぁらぁ~!!!!!!」
途端に顔が真っ赤になり、辛味で舌が回らないのか、奇声にも似た声を上げて
先ほどまでの衰弱が嘘のようにその場に飛び起きた。
(ランガーオ村の村長と同じ反応だ……)
私以外の4人はグラッドさんの反応に驚いていたけれど、私は既視感のある展開にどこか懐かしささえ覚える始末だった。
身体が動けるようになったとは言え無理は禁物。
私達はグラッドさんを町まで送り届ける事になった。
エイトがリレミトを唱え、瞬時に洞窟の出口に出る。
外の明るさに若干目を眩ませていると、低い唸り声が聞こえてきた。
「……こいつら……!!まさか私が出てくるのをここで待ち伏せしていたのか!?」
無数のオオカミが牙を剥いて此方に近寄ってくる。
「数が多いから範囲攻撃で一気に仕留めよう!ルシアはグラッドさんを護って!」
「うん!……グラッドさん、私から離れないで下さい!」
私がそう言うや否や、オオカミ達が一斉に飛び掛かってくる。
ゼシカが即座にベギラゴンを唱え、オオカミ達の数を削る。
獣は炎を怖がるものと思っていたけれど、臆している気配は見受けられない。
寧ろ死ぬことを恐れていないようにさえ見える。
「何よこいつらっ……!」
猪突猛進に攻撃を繰り出してくるオオカミ達に戸惑いつつ、こちらも応戦する。
「バギクロス!」
ククールが繰り出した竜巻にオオカミ達が吞み込まれ、その体が引き裂かれていく。
竜巻が辺りの雪を吸い込み、呪文が落ち着いた後にはまるで白い柱のようなものが出来上がっていた。
「さて、もう少しで駆逐完了だな」
「いけないっ!!」
呪文を搔い潜ってきたのか、傷だらけのオオカミが私を目掛けて突進してきた。
即座に手にしていた杖でオオカミを殴り倒し、事なきを得た。
雪の上に倒れたオオカミが事切れたの確認すると、私は小さく息を吐く。