コネクト~幽玄の園~
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その後エイトと階段を上がった先にあったリビングへ向かう。
既にみんなが集まっていて、テーブルを囲んでメディおばあさんから薬湯を貰って飲んでいた。
ゼシカの仕組んだ事なのか何なのか定かではないけれど、暖炉の前の席が二つ並んで空いていた。
そこへ座るようメディおばあさんに促され、私とエイトは二人一緒に席に着く。
そんな様子を向かいに座っていたゼシカがニヤニヤしながら見ていた。
私は溜息を吐きつつ、彼女を見返す。
「……何か?」
「お似合いなのになぁ、って思って」
「だから、あのね……」
ゼシカに反論しようとすると、私の前に薬湯が入ったカップが置かれる。
「あ、ありがとうございます……」
立ち上がろうとしていた身体を大人しく椅子に戻してメディおばあさんに頭を下げる。
「若いって良いわねぇ」
メディおばあさんに小声でそう言われて、また顔が熱くなっていく。
それを誤魔化すように私はカップを手にして薬湯を口にした。
「これ……ヌーク草……?」
実際に飲むのは初めてだけど、ランガーオ村の村長がラギ雪原に遭難してしまったのを助ける時に持たされた薬草と同じ香りがした。
少し辛味のある癖の強い味。
けれど、飲み込んだ瞬間から身体がポカポカしてくる。
「あんた、雪国の出身なのかい?」
メディおばあさんにそう訊かれて、私は首を左右に振る。
「前にヌーク草を届けるよう依頼された事があって……緊急事態だったから、その人はそのまま食べてたけれど……」
「ヌーク草を?そのまま?それはさぞかし立派な火吹き芸が見れたのでしょうねぇ」
「ええ……まぁ……。」
苦笑しつつそう答えると、再び薬湯を口にする。
煎じて薬湯にしてもこれだけの辛味があるんだもの。
そのまま食べたら……なんて、考えるだけでも恐ろしい。
「雪崩から助けてもらい、一夜の宿を貸してもらい……何から何まで世話になりますのう」
薬湯の入ったカップを手に持ちながらトロデ王がしみじみ述べる。
「それにしてもバアさんもこんな怪しいのが助けを求めて来たのによく信用する気になったよな」
ヤンガスが何気なく放った一言がちょっと面白くて、私は慌てて笑いを堪えた。
ここで笑ったりしたら、トロデ王はきっと気を悪くしてしまうだろうし。
他のみんなも顔を逸らしたり、俯いたりした辺り笑うのを我慢してるみたい。
「この山賊くずれが!貴様にだけは怪しいのとか言われたくないぞ!」
トロデ王もすかさず言い返す。
確かにぱっと見た感じは両者とも怪しい、かも?
そんな事を考えたら更に面白く感じてしまって、私は口元を抑える。
「確かに変わった姿の人だとは思いましたがねぇ……。このトシになると人の容姿など気にならなくなりますな。まぁ。こんな人のいない雪山で困ってる人がいれば相手が誰でも助けますわい」
ヤンガスの問いかけにそう答えると、笑みを浮かべながらメディおばあさんは自分の分の薬湯を口にする。
此方としては大助かりだけど、助けた相手が悪い人だったら……とか考えると少し心配にならなくもない。
「そういえば、おばあさんはどうして山奥に一人で暮らしてるんですか?」
ゼシカがそう訊ねると、みんなの視線が一斉にメディおばあさんの方へ向く。
「この家の裏手には古い遺跡がありましてな。先祖代々わしの家系はそれをお守りしてきたのですじゃ。……しかし、それもわしの代で終わる事になるでしょうな。後を継ぐものもおりませんしのう……」
メディおばあさんの声色が少しだけ低くなる。
けれどそれは寂しいというより、どこか安堵したようにも捉えられた。
その後もみんなで他愛のない会話を交えつつ、食事までご馳走になってしまった。
いつもミーティア姫と二人で食事を摂っているであろうトロデ王は久しぶりに大人数でテーブルを囲めたのと、少量だけどお酒を口にしたのもあって終始上機嫌だった。
夜も更けて来て、そろそろお開きという頃にククールがメディおばあさんに黒犬の行方を聴いているのが耳に入ってきた。
けれど、メディおばあさんは心当たりがないみたいで。
この山を下って更に北へ行くとオークニスという町があるから、そこで情報収集をしてみたらどうか、というメディおばあさんの提案に乗り、私達の次の行先が決まった。
ゼシカと二人で食器の片づけを手伝った後、目を覚ました時に居た部屋へと戻っていく。
「なんだか久しぶりに穏やかな時間を過ごしたわね」
「ほんとだね。……ゼシカは身体、大丈夫なの?」
暗黒神に肉体を奪われていた時、些か無理な力を引き出されていたようにも見える。
「目を覚ました直後は少し怠かったけど、今は何ともないわ。そう言うルシアは大丈夫なの?」
「うん、私はなんともないよ」
「それなら良いんだけど。……そうだ、ルシア。さっきの事なんだけど」
「……さっきの事って?」
ゼシカの様子からなんだか嫌な予感がしてきて、私は部屋に入るなり早々にベッドに潜り込む。
「エイトとの事よ!あとでゆっくり聴くって言ったじゃない?」
やっぱりその事。
エイトは喋ってくれそうにないと踏んで、私に訊く機会を伺っていたと。
「だって、ドルマゲスと戦う前はイイ感じだったじゃない?それなのに……どうしたの?」