コネクト~幽玄の園~
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「これ……ルシアの大事なものじゃないの?」
エイトが手の中の金のロザリオを見ながらそう問い掛けてきた。
確かに合成とか大変だったけど、アクセサリーなんて向こうに帰ればいつでも作れる。
そんなものでもきっとエイトの役に立ってくれる筈。
「御守りにって思って。エイト、危ない目にばっかり遭ってるし」
「……そうかな?」
「そうだよ!海に落ちたり……いつも前線で戦って、いっぱい怪我もしてる」
「……ルシアからの贈り物……凄く嬉しい。大切にする」
「贈り物って……そういうつもりじゃ……!」
本当に嬉しそうにロザリオを眺めているエイトを前に、私の胸中はまたざわついてしまう。
あんなに突き放したのに……
エイトはまだ……。
そんな彼の気持ちを知って、安堵している自分にもとても腹が立って。
私の胸中を察したかのように、エイトが少しだけ笑みを溢した。
「ルシア、そんな顔しないで。僕が勝手に喜んでるだけだから。好きな人からのプレゼントだよ?嬉しいに決まってる」
「……やめて……。」
「ルシアがどう思っても、僕は自分の気持ちを間違ってるなんて思わない。嫌かもしれないけど……君に迷惑かけなければ……良いよね?」
「そんなの、おかしいよ……」
「それにね……一度根付いた気持ちを消す事って、そんなに簡単じゃないんだよ」
それは私も解ってる。
駄目だって思いながらも、私は貴方を……。
ううん、そんなの関係ない。
ちゃんとしなくちゃ。
「誰に否定されたとしても、僕はルシアが好き。君にも好きになって欲しいなんて望まない。だけど……好きでいるだけなら、赦してくれるよね?」
「……エイト……私は……」
「何も言わなくて良いよ。君は優しいから、僕を解こうとするでしょう?でもそうされると……もっと欲しくなっちゃうから……それはそれで、結構苦しいんだよ」
何処か寂しそうに微笑うエイトに、私は何も言えなくなってしまう。
諦めて欲しい。
その想いを他の人に向けてあげて欲しい。
どうしてそれを言えないのか。
……本当は嬉しいから。
想って貰えて幸せだから。
私も……エイトが好きだから。
だけど、私はそんな風に想ってはいけない。
現を抜かしていてはいけない。
やるべき事は何?
私がしないといけない事は誰かを愛する事なの?
一刻も早く帰還して、囚われた神の器を救いだして、お姉ちゃんを……。
……こんな気持ちを持ったまま、私は戦えるの?
「……ルシア」
立ち尽くしていた私の肩に腕が伸びて来て、そのまま抱き寄せられる。
「ごめん……困らせたよね。だから、泣かないで……?」
「……ううん……違うの……私の方こそ、ごめんなさい……」
一層の事、嫌いになってくれれば良いのに。
こんな泣き虫は嫌だって、言ってくれれば良いのに。
……違うかな。
私が彼の気持ちを受け入れて、私も素直に伝えれば良いだけ。
でもそれは出来ない。
この世界への誓いを破る事になってしまうから……。
いつの間にか溢れていた涙を拭ってエイトから離れようとするけれど、彼はそうさせてくれなかった。
力強く私の身体を抱いたまま、離してはくれなかった。
「……エイト?」
「寒いから……もう少しだけ……ごめんっ……」
その言葉は嘘だと直ぐに気付いたけれど、傷付けてしまった事へのお詫びとして、彼の気が済むまでこのままじっとしている事にした。
「……あれ?エイト、服は……?」
彼の背に手を回すと、其処には肌の感触があって。
そして周りを見てみると、案の定彼の衣服は天井から吊るされて干されていた。
「……あ、あの……」
今まで俯いていたのと、エイトがベッドから出た所を見ていなかったので気付かなかった。
流石に全裸じゃないとは思うけれど……いや、だけど私が目を覚ました時は全裸だったから、もしかするかもしれない。
「あれ?僕、服着てなかった……」
エイトも自分で解っていなかったらしく、なんだか間の抜けた声を上げていた。
「私……どうすればいい?」
このままでいる訳にはいかないのもそうなのだけど、身体を見るのも何だか気まずくて。
一応エイトに訊ねてみた。
「んー……僕は別に君に身体見られてもなんともないんだけど」
「エイトは良くても私は良くないの!……目瞑ってあっち向いてそのまま部屋を出るから……」
「それだとルシアを離さないといけなくなっちゃうから……勿体ないな。折角今だけ許してくれてるのに」
「……エイト、あのね……」
「解ってるよ……だけど、しょうがない……好きなんだから……。」
一度は気持ちを伝えてしまっているせいで、私の中に今でもエイトへの想いがある事を知られているようだ。
それは図星だから、何も抵抗できない。
もしも、これ以上の事をされるとして……
私はちゃんと拒絶する事ができるのかな……?