コネクト~異世界へ~
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
今日は約束があった。
期間限定の家具屋さんがもうすぐ撤退してしまうとの事で
ハウジングに凝っている仲のいい友達と一緒に見に行く約束。
だけど、集合時間までまだ大分あって。
もうすぐ期限が切れそうなカードがあったから、これを消化しようかな。
そんな事を思いながら港町レンドアで魔法の鍵を捻った。
いつもだったら、どこかしらのダンジョンに飛ばされて
そのまま戦闘になる筈だったのに。
「……どこ、ここ……」
全く見覚えのない港町の真ん中で私は突っ立っていた。
しかも、思い切り通行人の邪魔になっているようで
荷物を抱えた船員らしき大柄な男の人がこちらを睨みつけながら通り過ぎていった。
「……おかしいな、アストルティアにこんなところあったかな……」
よくわからない所に来てしまったときは、とりあえず帰ればいい。
そう思って道具袋の中に大切にしまってあるルーラストーンを見て私は思わず絶句する。
いつも淡い緑色の光を放っていたその石は力を失っているかのように白く濁ってしまっている。
元気よく翳してみたりもしたけれど、全く反応はない。
何がどうなってるの?
本気で混乱してきた。
そして、一つだけわかった事がある。
直ぐには帰れそうにない、という事。
家に残してきたコンシェルジュ達、畑に植えた種……
その他にも色々心配事があったのだけど。
心配以上に私はとてもドキドキした。
ここはどこなんだろう?
約束の事も忘れて私は町中を散策する。
港町というだけあって沢山の人で賑わっている。
ラッキーな事に、通貨も普通に使えた。
家具を買う予定だったから、多めに持ってきておいて良かった。
そして何より良かったと心底安堵したのが……種族姿でなくてよかった!
ぱっと町中を見渡した感じ、人間以外はいないようだった。
エルフも、プクリポも、オーガもウェディもそこにはいない。
つまりここは人間の土地。
町中には看板なんかも出ていたりしたけれど、字はアストルティアの物とは違うみたいで全然読めなかった。
けれど、お店に出ている看板や建物の雰囲気は元いた場所と殆ど変わらなかったからなんとか生活していけそう。
(そういえば……呪文は?使えるのかな……)
何かあった時の為に呪文が使えなければかなり危うい。
幸い、私は賢者の職だったので回復と攻撃をバランスよくこなせる……筈。
そっと息を吐いて、魔力を集中させる。
腕を上下に動かして、陰と陽を表現する弧を描く。
戦闘開始時に嫌と言うほどやってきたこの動作も、なぜかとても新鮮に感じた。
胸元に光が集まり、そして体へと吸い込まれていく。
(良かった……むげんのさとりはなんとか入る……あとは……)
どこかに試し打ちができたら、と思ったのだけどここは町中。
むげんのさとりで魔力を引き出した状態だと下級魔法でも中級魔法くらいの威力が出てしまう。
愛用の杖を手に取って一旦外へ出ようかと、再び町中を歩きだすと
何やら港の方が賑わっている事に気づいた。
1/8ページ