守れない約束
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「あれ、リヴァイ。出かけるの?」
兵服ではなく私服で出かけようとする俺に声をかけるハンジ。
「…久々の休日だ。どこへ行こうと俺の勝手だろ」
「あーはいはい。楽しんで」
兵団を出ると、柄にもなく花屋を覗き花束を購入し、病院に向かう。
「リィ。入るぞ」
『…あ、リヴァイ』
病室に入るとふわりとした笑顔を向ける彼女。
つられて口角が少し上がる。
持ってきた花を渡すといつも少し申し訳無さそうに微笑む。
「ほら」
『ありがとう。ごめんね、前に持ってきてくれたお花枯れちゃって…
また、一輪だけ栞にしたよ』
「そうか、気にするな。一ヶ月も前だからな」
話しながらいつものように花瓶の用意して花を挿す。
『ありがとう』
「調子はどうだ」
『まぁまぁかな』
「…そうか」
『リヴァイ、大変そうだね。大丈夫?貴重な休みなのに、一日中ここにいて』
「別に他にすることもないしな」
『そう…意外と暇なんだね』
「あ?クソ忙しいに決まってんだろ」
『ご、ごめん』
イタズラっ子のように笑うリィにこちらも冗談で怒り口調で言ってみた。
「冗談だ」
『意地悪~』
「元気そうだな」
頭を撫でれば顔を赤らめる。
いつも、なんでもない話しをしながら休日が終わる。
『あ、もう暗くなってる』
「…」
『…帰る?』
「…あぁ、そろそろ帰るか」
『ありがとう』
「また休みができたら来る」
『うん。バイバイ』
「…またな」
病室を出る時、もう一度リィに振り返り声をかける。
リィは笑顔で手を振るのを確認すると兵舎に戻る。
『またね』
いつからか、リィはその一言を言わなくなった。
小さいことかもしれないが、それがなぜだか引っかかる。
・
「おい、来たぞ」
『…リヴァイ』
目を丸くして驚くリィに口角が上がる。
当然だ、今まで月に1回くらいしか来てなかったのに
前回の訪問から3日しか経ってないのだから。
『リヴァイ…もしかして、兵団…クビに…』
「あ?俺は兵長だぞ」
『ごめん…でも、珍しかったから』
「たまたまだ。急に休みが取れた」
いつも通り、会話をするが時折悲しそうな顔をするリィ。
「なぁ、リィ」
『ん?』
「お前の病気はなんだ」
『…』
リィは、何度聞いてもこの質問だけは答えてくれない。
『ねぇ、リヴァイ』
「なんだ」
『もしさ、私が死んでも』
「っ……」
『私が死んでも、泣かないでね?』
「……」
『まぁ、リヴァイが泣くところなんて想像つかないけど』
「…当たり前だ。なんでもないお前なんかのために泣くわけないだろ」
『そうだよ。なんでもない、ただの知り合いの女の為に泣くなんて……カッコ悪いから』
「……」
『もし泣いてたら、殴りに行くからね?約束だよ?』
「ふ……上等だ」
その日も、『またね』は無かった。
その日は、『バイバイ』じゃなく『さよなら』だった……。
それがまた、引っかかったんだ。
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