10回クイズ
ルチアーノに好きだと言わせたい。いつもは僕が言うばかりだから、たまにはルチアーノにも言ってほしい。それは、僕の密かな願望だった。
だから、そのネタを見たときには、これだ!と思った。引っ掛かったら、ルチアーノはきっと怒るけど、その時はその時だ。
その日の夜、僕はルチアーノに話を持ちかけた。
「ルチアーノ、10回クイズって知ってる?」
「10回クイズ? なんだよ。それ」
「指定された単語を10回言って、その後に出された問題に答えるものなんだ。例えば……」
僕は調べてきた問題を見ながら言う。
「ピザって10回言って」
「ピザ、ピザ、ピザ、ピザ…………」
言い終わるのを待って、僕は自分の左手の肘を示す。
「この部位の名前は?」
ルチアーノはすぐに問題の意図に気づいたようだ。
「そんなのに引っ掛からないよ。そこは『肘』だ」
自信満々に答える。
「正解! さすがだね」
「他にはないのかい?」
思ったよりも楽しんでくれているようだ。自分の知恵を見せつけるのが好きなのだろう。
「じゃあ、次は、みりんって10回言ってみて」
「みりん、みりん、みりん、みりん…………」
「鼻の長い動物は?」
「……ゾウ」
「正解!」
さすがはルチアーノだ。簡単には引っ掛からない。
「次の問題は……」
そうして、僕たちはしばらく10回クイズで遊んでいた。ただの言葉遊びだけど、たまにはこういうのもいいと思った。
でも、今回の目的はクイズで遊ぶことじゃない。僕は本題に入ることにした。
「次は、好きって10回言ってみて」
「好き、好き、好き、好き…………」
「ありがとう」
そこで、ようやくルチアーノは僕の目的に気づいたみたいだった。顔を真っ赤に染める。
「お前! 騙したな!」
ポカポカと叩いてくる。かなり力加減はしてくれているが、そこそこ痛い。
「だって、ルチアーノに好きって言われたかったから……」
僕が言うと、ルチアーノは叩いてくる手を止めた。
「そんなもの、わざわざ騙さなくても言ってやるよ」
恥ずかしそうに目を逸らしながら、彼は言う。
「じゃあ、今言って」
「…………………………………………好き」
消え入りそうな、小さな声だった。それでも、破壊力は抜群だ。
僕は後ろからルチアーノを抱き締めた。
「離せよ!」
腕の中で、ルチアーノがじたばたと暴れる。本気で嫌がっているわけではなさそうだ。きっと照れ隠しなのだろう。
ルチアーノが好きだと言ってくれた。それも、自分の言葉で。それだけで、僕は自分が幸せ者だと思えた。
だから、そのネタを見たときには、これだ!と思った。引っ掛かったら、ルチアーノはきっと怒るけど、その時はその時だ。
その日の夜、僕はルチアーノに話を持ちかけた。
「ルチアーノ、10回クイズって知ってる?」
「10回クイズ? なんだよ。それ」
「指定された単語を10回言って、その後に出された問題に答えるものなんだ。例えば……」
僕は調べてきた問題を見ながら言う。
「ピザって10回言って」
「ピザ、ピザ、ピザ、ピザ…………」
言い終わるのを待って、僕は自分の左手の肘を示す。
「この部位の名前は?」
ルチアーノはすぐに問題の意図に気づいたようだ。
「そんなのに引っ掛からないよ。そこは『肘』だ」
自信満々に答える。
「正解! さすがだね」
「他にはないのかい?」
思ったよりも楽しんでくれているようだ。自分の知恵を見せつけるのが好きなのだろう。
「じゃあ、次は、みりんって10回言ってみて」
「みりん、みりん、みりん、みりん…………」
「鼻の長い動物は?」
「……ゾウ」
「正解!」
さすがはルチアーノだ。簡単には引っ掛からない。
「次の問題は……」
そうして、僕たちはしばらく10回クイズで遊んでいた。ただの言葉遊びだけど、たまにはこういうのもいいと思った。
でも、今回の目的はクイズで遊ぶことじゃない。僕は本題に入ることにした。
「次は、好きって10回言ってみて」
「好き、好き、好き、好き…………」
「ありがとう」
そこで、ようやくルチアーノは僕の目的に気づいたみたいだった。顔を真っ赤に染める。
「お前! 騙したな!」
ポカポカと叩いてくる。かなり力加減はしてくれているが、そこそこ痛い。
「だって、ルチアーノに好きって言われたかったから……」
僕が言うと、ルチアーノは叩いてくる手を止めた。
「そんなもの、わざわざ騙さなくても言ってやるよ」
恥ずかしそうに目を逸らしながら、彼は言う。
「じゃあ、今言って」
「…………………………………………好き」
消え入りそうな、小さな声だった。それでも、破壊力は抜群だ。
僕は後ろからルチアーノを抱き締めた。
「離せよ!」
腕の中で、ルチアーノがじたばたと暴れる。本気で嫌がっているわけではなさそうだ。きっと照れ隠しなのだろう。
ルチアーノが好きだと言ってくれた。それも、自分の言葉で。それだけで、僕は自分が幸せ者だと思えた。