★誘い
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その少年は突然現れた。空から舞い降り、身を包む奇妙な白い布を揺らして僕の前に立ち塞がると、一方的に告げた。
「君、○○○だろ。少し付き合ってくれないか?」
それが、僕とルチアーノの出会いだった。
「僕のデュエルに付いてこれるなんて、君もなかなかやるじゃないか」
初めてのタッグデュエルを終えた後、彼は愉快そう言った。
「僕のパートナーにしてやってもいいぜ」
「君の目的は何なの?」
僕が尋ねると、ルチアーノはいたずらっぽく笑った。
「それを知りたいなら、僕を本気にさせてみなよ」
その言葉は、きっと宣戦布告だったのだろう。その時、僕はそこまで気していなかったけれど。
「退屈は嫌いなんだ」
僕に対して、ルチアーノはいつもそう言った。
彼は可憐な容姿に似合わず残虐な性格をしていた。相手を徹底的に追い詰め、痛め付けて、心底楽しそうに笑う。本気で他人を痛め付けるのが好きなようだった。
彼の誘いはいつもデュエルだった。目的があるのかないのか、ターゲットに決めた人間を徹底的に痛め付け、その姿を見ては狂ったように笑う。その姿は恐ろしいが、妙な魅力があった。
僕は、彼に気に入られてしまったらしい。毎日のように僕の前に現れては、こう言った。
「今日は何して遊ぼうか?」
「どうして、彼らを逃がしたの?」
僕が言うと、彼は分かってないなという顔をした。
「簡単に潰したら面白くないだろ。こういうのは、ゆっくり痛め付けてから絶望させるのがいいんだよ」
相変わらず恐ろしいことを言う。無邪気な笑顔で狂気を見せる。
その日のターゲットは、アカデミアに通う双子だった。不動遊星率いるシグナーチームに所属していて、ルチアーノにとっては敵に当たる存在らしい。
「シグナーシグナーって持て囃されて、目障りだよな」
彼は不機嫌そうに言う。
「追い詰めて絶望させて、ぐちゃぐちゃにしてやりたいぜ」
きひひ、と妙な笑い声上げる。そこに不気味な響きを感じて、僕は口を噤んだ。
「君も、僕を悪趣味だって思うかい?」
「そんなことは……」
慌てて答える。悪趣味なのは確かだ。しかし、僕はそんなルチアーノに惹かれているのだから。
「思いたいなら、勝手に思っていればいいさ。人間がどう思おうと、僕には関係ないからね」
そう言ってまた笑う。その潔い性格が好きだった。
ルチアーノはどこまでも美しかった。相手を嘲る淡緑の瞳、残虐に歪む可憐な顔、心の底から楽しそうに笑う気の触れた声、時々覗かせる赤い舌。的確に相手を煽り、痛め付ける姿は子供とは思えないくらい恐ろしくて、背筋が凍るような感覚と、妙な色気を感じるほどだった。
その表情に、瞳に、笑い声に、引き付けられてしまう。危ない方向へと引き寄せられてしまう。善悪の概念さえ壊してしまうような魅力を、彼は持っていた。
僕は、そんな彼が少し怖い。
「ねぇ、○○○、僕とデュエルしろよ」
ある日、ルチアーノはそう言った。
初めてだった。普段は彼のパートナーとしてタッグデュエルをするだけだ。一対一のデュエルなど望んでいないのだと思っていた。
「いいよ」
僕は答えた。なぜか、妙に身構えてしまう。彼の目的が分からなかったのだ。
結果は、僕の勝利に終わった。
心臓がドキドキしていた。これまでの人生で経験したことの無い、燃えるようなデュエルだった。身体を刺す本物の痛みも、彼の前では心地よさすら感じた。
それは、相手がルチアーノだからなのだろうか。
「やっぱり、思った通りだ! 」
楽しそうに彼は笑う。
「すごく、楽しかったよ」
僕が言うと、彼は満足そうな顔をした。
「僕の本気は、こんなものじゃないんだけどね」
そう言って、珍しく真面目な顔をする。
「君、僕のパートナーにならないかい? 今までみたいな遊びじゃない、仲間としてのパートナーに」
ルチアーノの顔が近づいた。耳元で囁かれる。
「僕たちは、最高のパートナーになれると思うんだ」
心臓がドクドクと鳴った。背筋が凍るような感覚に襲われる。その声は、子供とは思えないほどに大人びていて、艶かしかった。
彼は顔を離すと、いたずらっぽく笑った。
「僕は、デュエルで人を痛め付けるのが好きなんだ」
そこで、一度言葉を区切る。僕の反応を窺っているようだ。
「君も、人を痛め付けるのが好きなんだろう? 恐怖に怯え、絶望し、助けを求める人間を見るのがさ……」
「違う……」
僕は否定しようとした。自分に、そんな性質があるなんて思ったことがない。
「正直になりなよ。君が僕のパートナーとして僕に付いてきたのは、人を痛め付けるのが好きだったからだろう」
「違う……、僕は……」
否定しようとするが、言葉が出ない。まるで、彼の言葉に絡め取られてしまったかのようだった。
気づいてしまったのだ。自分が、なぜこの少年に惹かれるのか。本当は、とっくに気づいていたのかもしれない。認めたくなかっただけで。
魅力的だったのだ。非道徳的なことを楽しんでいるということが。それが10を越えたばかりの少年であるということが。自分が、その共犯者になっているということが。
インモラルなことだからこそ、これは魅力的なのだろう。
「僕は……、君の楽しんでる姿を見るのが好きなんだ……」
僕は言った。ルチアーノがからかうような笑顔を見せる。
「やっと認めたね。僕のパートナーになってくれるかい」
「それは、構わないよ」
どちらにしても、僕はこの少年に惹かれているのだ。覚悟を決めるしかない。
「もう、逃げられないよ」
「覚悟するよ」
ルチアーノの目を見つめて、僕は言う。彼が満足そうに笑った
「一緒に、この町をめちゃくちゃにしてやろうぜ」
その声は、まるで悪魔の囁きのようだった。悪魔と契約する魔法使いは、こんな気持ちになるのだろうかと、頭の片隅で思った。
「君、○○○だろ。少し付き合ってくれないか?」
それが、僕とルチアーノの出会いだった。
「僕のデュエルに付いてこれるなんて、君もなかなかやるじゃないか」
初めてのタッグデュエルを終えた後、彼は愉快そう言った。
「僕のパートナーにしてやってもいいぜ」
「君の目的は何なの?」
僕が尋ねると、ルチアーノはいたずらっぽく笑った。
「それを知りたいなら、僕を本気にさせてみなよ」
その言葉は、きっと宣戦布告だったのだろう。その時、僕はそこまで気していなかったけれど。
「退屈は嫌いなんだ」
僕に対して、ルチアーノはいつもそう言った。
彼は可憐な容姿に似合わず残虐な性格をしていた。相手を徹底的に追い詰め、痛め付けて、心底楽しそうに笑う。本気で他人を痛め付けるのが好きなようだった。
彼の誘いはいつもデュエルだった。目的があるのかないのか、ターゲットに決めた人間を徹底的に痛め付け、その姿を見ては狂ったように笑う。その姿は恐ろしいが、妙な魅力があった。
僕は、彼に気に入られてしまったらしい。毎日のように僕の前に現れては、こう言った。
「今日は何して遊ぼうか?」
「どうして、彼らを逃がしたの?」
僕が言うと、彼は分かってないなという顔をした。
「簡単に潰したら面白くないだろ。こういうのは、ゆっくり痛め付けてから絶望させるのがいいんだよ」
相変わらず恐ろしいことを言う。無邪気な笑顔で狂気を見せる。
その日のターゲットは、アカデミアに通う双子だった。不動遊星率いるシグナーチームに所属していて、ルチアーノにとっては敵に当たる存在らしい。
「シグナーシグナーって持て囃されて、目障りだよな」
彼は不機嫌そうに言う。
「追い詰めて絶望させて、ぐちゃぐちゃにしてやりたいぜ」
きひひ、と妙な笑い声上げる。そこに不気味な響きを感じて、僕は口を噤んだ。
「君も、僕を悪趣味だって思うかい?」
「そんなことは……」
慌てて答える。悪趣味なのは確かだ。しかし、僕はそんなルチアーノに惹かれているのだから。
「思いたいなら、勝手に思っていればいいさ。人間がどう思おうと、僕には関係ないからね」
そう言ってまた笑う。その潔い性格が好きだった。
ルチアーノはどこまでも美しかった。相手を嘲る淡緑の瞳、残虐に歪む可憐な顔、心の底から楽しそうに笑う気の触れた声、時々覗かせる赤い舌。的確に相手を煽り、痛め付ける姿は子供とは思えないくらい恐ろしくて、背筋が凍るような感覚と、妙な色気を感じるほどだった。
その表情に、瞳に、笑い声に、引き付けられてしまう。危ない方向へと引き寄せられてしまう。善悪の概念さえ壊してしまうような魅力を、彼は持っていた。
僕は、そんな彼が少し怖い。
「ねぇ、○○○、僕とデュエルしろよ」
ある日、ルチアーノはそう言った。
初めてだった。普段は彼のパートナーとしてタッグデュエルをするだけだ。一対一のデュエルなど望んでいないのだと思っていた。
「いいよ」
僕は答えた。なぜか、妙に身構えてしまう。彼の目的が分からなかったのだ。
結果は、僕の勝利に終わった。
心臓がドキドキしていた。これまでの人生で経験したことの無い、燃えるようなデュエルだった。身体を刺す本物の痛みも、彼の前では心地よさすら感じた。
それは、相手がルチアーノだからなのだろうか。
「やっぱり、思った通りだ! 」
楽しそうに彼は笑う。
「すごく、楽しかったよ」
僕が言うと、彼は満足そうな顔をした。
「僕の本気は、こんなものじゃないんだけどね」
そう言って、珍しく真面目な顔をする。
「君、僕のパートナーにならないかい? 今までみたいな遊びじゃない、仲間としてのパートナーに」
ルチアーノの顔が近づいた。耳元で囁かれる。
「僕たちは、最高のパートナーになれると思うんだ」
心臓がドクドクと鳴った。背筋が凍るような感覚に襲われる。その声は、子供とは思えないほどに大人びていて、艶かしかった。
彼は顔を離すと、いたずらっぽく笑った。
「僕は、デュエルで人を痛め付けるのが好きなんだ」
そこで、一度言葉を区切る。僕の反応を窺っているようだ。
「君も、人を痛め付けるのが好きなんだろう? 恐怖に怯え、絶望し、助けを求める人間を見るのがさ……」
「違う……」
僕は否定しようとした。自分に、そんな性質があるなんて思ったことがない。
「正直になりなよ。君が僕のパートナーとして僕に付いてきたのは、人を痛め付けるのが好きだったからだろう」
「違う……、僕は……」
否定しようとするが、言葉が出ない。まるで、彼の言葉に絡め取られてしまったかのようだった。
気づいてしまったのだ。自分が、なぜこの少年に惹かれるのか。本当は、とっくに気づいていたのかもしれない。認めたくなかっただけで。
魅力的だったのだ。非道徳的なことを楽しんでいるということが。それが10を越えたばかりの少年であるということが。自分が、その共犯者になっているということが。
インモラルなことだからこそ、これは魅力的なのだろう。
「僕は……、君の楽しんでる姿を見るのが好きなんだ……」
僕は言った。ルチアーノがからかうような笑顔を見せる。
「やっと認めたね。僕のパートナーになってくれるかい」
「それは、構わないよ」
どちらにしても、僕はこの少年に惹かれているのだ。覚悟を決めるしかない。
「もう、逃げられないよ」
「覚悟するよ」
ルチアーノの目を見つめて、僕は言う。彼が満足そうに笑った
「一緒に、この町をめちゃくちゃにしてやろうぜ」
その声は、まるで悪魔の囁きのようだった。悪魔と契約する魔法使いは、こんな気持ちになるのだろうかと、頭の片隅で思った。
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