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君と二人で歩む旅

その4(ボチ)

「なあ、このポケモンって、君に似てるよな」
 そう言われて画面を覗き込むと、そこには、頭に蝋燭を乗せた犬の姿があった。ゴーストタイプの新ポケモン、ボチだ。
「どこが似てるの?」
 僕は尋ねる。自分がボチに似てるなんて、考えたこともなかった。
「この犬、前髪で目が隠れてるだろ。君にそっくりだぜ」
「確かに、表情が分かりづらいとは言われるけど……」
 僕は画面を覗き込む。そんなに似ているだろうか?
「それに、君は「ルチアーノ、ルチアーノ」って、僕の後を付いてくるからな。ボチそのものじゃないか」
 ルチアーノはからかうように笑う。彼にとって、僕がそんな風に見えていたとは思わなかった。確かに、言われてみればそうかもしれない。
 でも、僕はボチに似ているのはルチアーノの方だと思っている。遊び相手がほしいと声をかけてきて、何度か応じたら、今度はタッグパートナーに任命してくれた。それからは、ずっと一緒にいる。
 僕にとってのルチアーノは、人懐っこくて、寂しがりで、甘えたがりで焼きもち焼きなかわいい男の子なのだ。
 それに、ルチアーノは人間と遊ぶのが下手だった。神から与えられた力で、戦った相手を傷つけてしまう。そんなところもボチみたいだ。
「僕は、ルチアーノの方がボチに似てると思うけどな」
 そう言うと、ルチアーノは嫌そうな顔をした。
「どこがだよ。全然似てないだろ」
「そっくりだよ」
 僕が言うと、ルチアーノは頬を膨らませる。その姿は拗ねた子犬のようで、とてもかわいらしかった。
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