君と二人で歩む旅
その1(旅の始まり)
ポケモンの最新作が発売された。今回は、伝説のポケモンに乗ることができるらしい。まるでDホイールだと、周りで話題になっていた。
僕はさっそくソフトを購入した。ゲームを起動して、キャラクターの外見を整える。長い旅をする僕の分身だから、時間をかけてじっくりデザインした。僕の理想の姿を作りたかったのだ。
「何をやってるんだよ」
気がついたら、後ろにルチアーノが立っていた。僕の持っているゲーム機を見て、眉を顰める。
「僕と遊ぶより、ゲームの方が大事だって言うのかい?」
そう言うと、横から手を伸ばして、僕の持っていたゲーム機を奪い取った。
「返してよ!」
僕は焦った。その画面には、彼に見られたくないものが映っている。どうしても取り返したかった。
「そんなに焦って、やましいことでもあるのかい?」
にやにやと笑いながら、ゲーム画面を覗き込む。そこで、彼の動きが止まった。
そこに映っているのは、僕のデザインした主人公だ。三つ編みにしたスカーレット色の髪に、緑色のキリッとした瞳。目の縁には、アイラインが一本だけ跳ねている。眉毛は好戦的に上がっていて、唇はぷっくりしたピンクだ。
それは、目の前にいる男の子、ルチアーノを再現した姿だった。
ゲームの主人公を恋人の姿にしているなんて、ちょっと気持ち悪い気がする。これは引かれても仕方ないだろうと思った。
「このデザインって僕のつもりかい? そんなに僕のことが好きなの?」
ルチアーノがからかうように言う。
「そうだよ。ルチアーノが好きだから、ゲームの中でだけでも、姿を借りたかったんだ」
素直に答えると、彼の頬がほんのりと染まった。照れているようだった。
「今回は、特別に許してやるよ。でも、たまには僕とも遊べよな」
そっと、ゲーム機を僕に差し出す。
「一緒にやろうよ。二人で進めた方が楽しいでしょう?」
ルチアーノを膝に乗せると、画面を覗き込む。二人で歩む旅は、きっと楽しいと思った。
ポケモンの最新作が発売された。今回は、伝説のポケモンに乗ることができるらしい。まるでDホイールだと、周りで話題になっていた。
僕はさっそくソフトを購入した。ゲームを起動して、キャラクターの外見を整える。長い旅をする僕の分身だから、時間をかけてじっくりデザインした。僕の理想の姿を作りたかったのだ。
「何をやってるんだよ」
気がついたら、後ろにルチアーノが立っていた。僕の持っているゲーム機を見て、眉を顰める。
「僕と遊ぶより、ゲームの方が大事だって言うのかい?」
そう言うと、横から手を伸ばして、僕の持っていたゲーム機を奪い取った。
「返してよ!」
僕は焦った。その画面には、彼に見られたくないものが映っている。どうしても取り返したかった。
「そんなに焦って、やましいことでもあるのかい?」
にやにやと笑いながら、ゲーム画面を覗き込む。そこで、彼の動きが止まった。
そこに映っているのは、僕のデザインした主人公だ。三つ編みにしたスカーレット色の髪に、緑色のキリッとした瞳。目の縁には、アイラインが一本だけ跳ねている。眉毛は好戦的に上がっていて、唇はぷっくりしたピンクだ。
それは、目の前にいる男の子、ルチアーノを再現した姿だった。
ゲームの主人公を恋人の姿にしているなんて、ちょっと気持ち悪い気がする。これは引かれても仕方ないだろうと思った。
「このデザインって僕のつもりかい? そんなに僕のことが好きなの?」
ルチアーノがからかうように言う。
「そうだよ。ルチアーノが好きだから、ゲームの中でだけでも、姿を借りたかったんだ」
素直に答えると、彼の頬がほんのりと染まった。照れているようだった。
「今回は、特別に許してやるよ。でも、たまには僕とも遊べよな」
そっと、ゲーム機を僕に差し出す。
「一緒にやろうよ。二人で進めた方が楽しいでしょう?」
ルチアーノを膝に乗せると、画面を覗き込む。二人で歩む旅は、きっと楽しいと思った。