めくるめくテニスをしよう
革命と称した負け組が、勝ち組コートを攻め落としに帰って来たのは朝方の事で、居合わせたメンバーは度肝を抜かれたという。
高校生たちがざわめいていた。
それも舞い戻って来たのが中学生だったというなら尚のこと…
この日幸村は部屋にいて、人づてにその話を聞いた。
「幸村くん!」
夕刻、丸井が言うところによると、コーチたちの恩情によって再会を喜び合う時間をもうけてくれるという。
同士討ちがもたらした結果は、まだ中学生の彼らにとって大きな試練になったはずだ。
勝っても負けても最愛の友を失ったのだから。
「幸村部長!行きましょうよ!俺、柳先輩に会ってあらためてお礼を言うっス」
「そう…」
柳の望み通りに、デビル化を克服した赤也が嬉々として飛び出して行った。
幸村の複雑な思いを知らずに…
「私も、また仁王くんに騙されに行きましょうか」
あんなに仁王のイタズラに悩まされていたのに、柳生は穏やかな笑みをたたえていた。
「幸村くんも、行くだろぃ?」
早くジャッカルに飛びつきたくて仕方ないのだろう。先に行ってもかまわないのに、丸井は幸村が腰を上げるのを待っている。
「行っておいでよ。俺もあとから行くから」
無理して笑った顔が、どうか自然でありますように。
「わかった。じゃ、真田に伝えとくな」
やさしいお節介をやく丸井には困ったものだが、
「うん、頼んだよ」
いつもの自分らしく振る舞えたと思う。