つまり だから ほら
たまらないのは真田も同じ、いやもうずっと前からこの無邪気な男の感情の波に揉まれて堪え忍んできた。
剣道を続けるのも、心頭滅却すれば…をモットーにかこつけた、無自覚で奔放な恋人のアプローチから距離をとるための避難先であったりする。
ついに荒波は避難場所に到達してしまったというわけだ。 しかし目の前には、荒波とはかけ離れた清らかな湖のような瞳がこちらを見据えているのである。
真田はきつく目をつぶって、たぎる欲情を振り払うように頭を振った。 それなのに何がおかしいのか、幸村はにこにこしてますます身を寄せてきたからたまらない。
いっそ道着袴をとっぱらって、幸村のユニフォームも引き剥がしてしまおうか。
(俺はもう限界だぞ幸村…)
袴の中で熱いモノが首を長くして待ちわびている。
「かわいいな、真田は」
自分を棚に上げてからかってくる。
まかり間違っても常人が口にしない表現をしてくる幸村を前に頭をかかえるしかない。
「もうやめんか…」
「うん?ダメ。真田だってそうだろう?」
膝で袴の股ぐらを圧されて、向けられた流し目に、受けて立つ覚悟ができた。
意気込みに任せて幸村の神秘のベールを剥いでいく。
「きれいだ」
一糸纏わず白いベッドに横たわる幸村を見下ろす。 蛍光灯に照らし出された幸村の全身を前にして、しばらく瞬きを忘れた。
「好きだ、って言ってほしい」
からかいではない真っ直ぐな幸村の声にはっとして、自分も上半身を裸になる。
幸村が息を呑んだのがわかった。 下に目をやると、そこは呼応するように反応を示している。