期待のルーキーっスから!

最近、柳先輩に難しい日本語を教えてもらったっス。
つまりこういうのを“甘美な”っていうんしょ。


今日は3年生の都合上、滅多にないオフになった。 つーわけで、放課後さっそく友達に借りたエロ……いかがわしい本を開きに来たってわけ。 誰もいない空き教室ならちょうどいいと思ったんだけど… 教室のドアが乱暴に開いて、邪魔者が入ってきた。

俺はとっさに本を抱えて教卓の下のスペースに転がり込んだ。

『ちょっとまて、怒ってるのか?』

あらら、喧嘩なわけ? でもこの中性的な声はよく知ってる。 いかがわしい本も気になるけど、この現場の方が問題っしょ。 声の主がわかってしまったからには、もうここから出るわけにはいかなくなった。

(幸村部長にだけはこんな本を見られたくねぇ……)

なんか、けいべつ?白い目で見られそうだから。 それは嫌だ。
今は体を小さくして、早く部長が出ていってくれるのを待つしかない。

『勘違いするなよ。痛っ…離せ』

つーか誰だよ、部長をいじめてるの。 場合によっては助太刀するつもりだ。

『自覚をしろと言っただろう。何故わからんのだ』

『わからないな。クラスの友達と話すのも駄目だっていうのか』

『触られていたではないか』

『俺だってふざけたりはしゃいだりするよ。お堅い真田にはわからないだろうけど』

げっ! 副部長が相手じゃまずい。

『フフ…よかったよ、真田と同じクラスにならなくて。ずっと拘束されそうだもんな』

『幸村っ!』

大声に驚いたのは、俺だけじゃないはずだ。 幸村部長が心配になる。

『…怒鳴ってどうするつもりだい?』

心配をよそに部長の声は落ち着いていて、逆に挑発しているように感じる。 さすが部長。 副部長のすることに動じない。 こんな時の副部長は、たいてい返す言葉がなくて部長と距離をとってやり過ごしていた。
だから、これで俺はこの状況から解放されると思っていた。
1/4ページ
スキ