俺の幸村
『うわぁ…ほんとにゲンイチローくんの言ったとおりにふってきた!すごいね』
『おじいさんがこんなお空のときは気をつけなさいっておしえてくれたから…すごくないよ…』
『びちょびちょになっちゃったね』
あまやどりしながらお迎えがくるのをまった。 しゃがみこんだせいいち君は、あじさいの花をゆびでつんつんしながらわらってた。 半ズボンから見えた太ももが、ボクよりむちむちしてて見ちゃいけないような気がした。
『ゲンイチローくん?』
『ご、ごめん!』
こっちを見たせいいち君に、ボクはびっくりしてしまう。 そんなボクの声におどろいたせいいち君が、しりもちをついてしまった。
ズボンの中が見えてしまったから、ボクはしっかり見たんだ。
ほんとうに男の子だった。
男の子でよかった。
でも、なんで男の子なんだろう。
ズボンのおしりについた土をパタパタはたきながら立ち上がったせいいち君は、ボクを見てちょっとおこってた。
(まだ5歳頃だった…あの時は一刻も早く迎えにきてほしくて、たまらん気持ちだったな)