ファーストゲーム

きっかけさえあればいつ抱かれてもいいと望んでいた幸村だったから、真田に「今夜、家に来ないか」と誘われた時は彼の顔を見てピンときた。
小さい頃はよく訪れていた真田家の和室を思い出す。

「久しぶりだな。楽しみにしてるよ」

そう返すと、恥じらいと覚悟の入り交じった顔をした真田が愛しかった。

(こうなったからには、ぼうやには感謝してるけどね。真田をそそのかしてくれてありがとう)

真田は本気で挑戦状を受け取ったようだが、幸村はさして気に留めていなかった。
勝っても負けても真田を手離すわけないが、

(真田は勝負事に真面目だから、自分が負けたら俺が泣いて嫌がっても本当に俺を差し出しそうだ)

他人が聞けばまさかと笑うことをやりかねない男だった。 そんな心配をしてしまうのは、あの少年の実力が未知数だからだろうか。
それと、少し、ほんの少しだけ、真田と少年の 、

(俺を見つめる力強い眼差しが似ていたな)

それはそれとして。

とうとう待ち望んでいた相手にからだを委ねる現実が迫っていた。
まさにすぐ近くまで真田のアレが押し寄せてきたと思ったらもう、ぐうっと中へねじ込まれてしまった。 凄まじい圧迫にじっと耐えるのがやっとだ。

(覚悟はしていたけど、こんなに…)

「っ…すまない、幸村、すまない…!」

(そう思うなら、動くなよ…)

涙ぐんだ目で真田を見上げたら、

「好きだ幸村」

素朴に言われて恥ずかしくなった。
動悸が激しくなって、息苦しい。 恥ずかしくて死んでしまいそうだ。

「幸村、触るぞ」

見兼ねた真田が前を弄ってくれる。
大きくて太い指先なのに、幸村を思う気持ちがすみずみまで行き届いたような、細やかな扱いをしてくれた。 おかげで、苦しさの中に快感が芽生えて口が勝手に、

「もっと、して」

真田の顔を引き寄せてその耳に言い切った。 そこから先は、五感すべてを奪われたセックスになった。
これまで真田に支配された記憶のない幸村だったから、手綱を握られているという多少の恐怖心もある。 からだを揺らす律動も、ねっとり舌を絡めるしつこさも、全部真田の思うさま。

(そろそろ、出したい、出そうだ…)

そっと真田を見やれば、精に熟した男の顔があった。 こうなって初めて大人びた幼なじみの魅力を知る。

(悔し涙ばっかり流してた“ゲンイチローくん”の癖に、こんなに…)

これ以上堪えられなくて、男の両頬を両手でつかまえて唇を押しつけた。
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