Face!Face!Face!!
朝から始まった練習試合も終盤で、五面ある青学のテニスコートの内、試合が行われているのは一面だけになっていた。コート整備も始まる中、最後の試合もそろそろ決着が付きそうだ。
そんな青学と氷帝の声援が張り合うテニスコートで、先程から両校のレギュラー達はちらちらとフェンスの外を気にしていた。
騒ぎ出さない分、まだ手塚も目をつむっている。
跡部は目の端でそちらを認めつつ、澄ました顔で後輩の試合を眺めていた。
「…以前切原が迷い込んだ事があったが」
跡部は横目で手塚を見た。
「それとは違うようだ。大人しくしているならそれでいい」
幸村には言えない分、跡部に釘を刺してくる。
暗に、ビューティーショーの撮影現場のような言葉以上のやりとりをするのはやめろと言っている。
「知らねぇな。それより」
跡部は顎をしゃくってその方角を示した。
すると幸村は、手塚に向かって小さく手を上げたではないか。手塚は少し驚いた目をしたが、すぐに咳払いをして試合終了の合図と共に跡部の傍を離れた。
「勝った?負けた?」
「それしかねぇのか、おまえは…」
コート整備が終わるまでの束の間、寄って来た幸村にムッとしたが、ほのかな香りに気が付いて口をつぐんだ。
「ふふ…」
「…幸村。この後は」
「当ててみようか?勝ちか負けか。そろそろ勝ち戦の後のキミを体感してみたいと思ってね」
「チッ…」
(俺様だってそうしてやりたいさ)
思い通りにならないイライラを顔に出した。
手塚に勝つのは容易ではないのだ。
