Face!Face!Face!!


誘ってくれと言わんばかりのそぶりが、いかにも幸村らしくてうずうずするのは跡部だった。
自分の目がどうのこうのと言い立てているが、黙っていれば他人が気が付くわけない。
二人の間でしか分かり得ないのに、かえって幸村の跡部を前にした態度の方が露骨で不自然だった。

跡部の撮影を覗きに来ていたのは越前で、初めての体験を見習う…というより跡部の個性を奪うような目を終始向けていた。
年下のそういう姿勢は嫌いではない。
一発OKの撮影も、カメラマンに訴えて自分が納得がいくまで撮り直してもらった。クオリティに妥協しない姿勢をあの一年に見せつけておいた。
カメラマンも口が上手いから、

「返事を渋る彼女を落とすつもりでいこうか」

個性を引き出してくる。
跡部は目を閉じて、まぶたの裏に幸村を映した。

ーーー精市はいつも、出だしは渋る。

服を脱がせようとすると自分で脱ぐと言い張って、跡部が手を引くと、やっぱり脱がせて欲しいと態度を変える。
跡部の裸を前にして、「恥ずかしすぎる」と逃げ腰になる幸村の腰に腕を回して片目をつむって見せた。
このウィンクは、好意はもちろん、真剣な雰囲気を和らげるのを跡部は本能で知っている。それに、励ましと取ってもらってもいい。
跡部がやるから飾らずに、まるで挨拶のように安心感を与えられるのだ。

ーーーほぅら、どうする?

幸村の強張った体が緩んできたタイミングが勝負だ。
キスしてキスして、前も後ろもこの手になれさせてしまって、やがて信頼を得られたなら幸村は体を許してくれる。

ーーーどうだ。俺はすごく良い気分だぜ。

幸村は恥ずかしがって正面から抱かれるのを嫌がったが、やはり跡部は正面がいい。好きな相手を背後から突くのは違うなと思っている。
幸村が安心したように言った。「よかった」と。

ーーーそうじゃねぇ。おまえの気持ちは…!

つい、不安と焦りにかられて激しくしてしまった。
刺激が全てではないとわかっていたのに。
興奮が収まらなくて、終わってから、まだ横たわる幸村を少しだけ煽るように見下ろした。
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