故意(恋)の風紀違反
放課後、幸村が指定の教室に着くと、十五人くらいの生徒が机に向かって頭を抱えていた。
まるで取り調べのような雰囲気に入り口で足を止めていると、
「幸村」
真田が最前列の端の机を指さして呼んだ。
「こんな事して。風紀委員はよほど暇らしいね」
幸村は椅子を引いて席に着いた。
渡されたプリントに目を通す。風紀、すなわち校則違反に至った理由と対策を書けばいいらしい。
難しいことないじゃないか、とペンを取った。
「おまえは初回だからな。ここにいるやつは殆ど常習だから書く内容に困っているのだ。同じ文句は認めていない」
理由は寝坊。
対策は夜更かしせずに就寝する。
シンプルだが、これに尽きる。初回だし、大目に見てくれるだろう。何と言っても、昨夜の電話は真田にも責任がある。
「これでいいだろ。俺は先に打って待ってるよ」
ラケットバッグを持ち上げた手を止められた。
「待て。簡潔すぎるぞ。詳細に欠ける」
「あのなぁ…」
幸村は浮かせた腰を椅子に戻した。
周囲からは、ほら見たことかという視線を向けられた。
結局幸村が最後まで居残った。
教卓で、集めたプリントを揃える真田に視線を送る。
(先生…?ちがうな。ふふ、教官って感じだ)
いつまでも反省の色が見えない幸村に、真田が静かに歩み寄って手を伸ばした。
