故意(恋)の風紀違反


付き合い出したら、エスカレートしたのは真田の方だった。
それが人のいる図書室だった時は、さすがの幸村も平常心を失いかけた。

真田は室内を静かに逃げ惑う幸村を追い詰める。
やがて幸村の背中が本棚に行き止まると、近寄ってすぐに唇を塞いだ。
幸村がいやがって頭を横にふっても、舌を使って口内を舐め回すのを止めない。
とうとう幸村の膝の力が抜けて、真っ赤な顔で真田を一瞬見上げてから、うつむいた。
真田は目の前にしゃがんで、

「どうした。こんな場所でもう勃ったのか?」

本当はフンと鼻を鳴らしたいのを我慢した。
この状況を心から楽しんでいるが、あまり調子に乗ると幸村はへそを曲げてしまうだろう。
すっかり幸村との悪い事にハマってしまった真田だった。
いつもは尻に敷かれているような自分が、幸村をこんなに余裕のない状態にさせているのが気持ちよかった。
なにより、こうやって特別な場所で追い詰めてやると、幸村は魅惑的になる。それを見て、真田は執着的な性的欲望にかられるのだった。

(どこまで乗り気なのかどうか…)

ふと顔を上げると、この一角だけどうも陰気臭い。
そもそも、こんな小難しい本ばかり集めた棚に用がある生徒はそうはいない。
六法全書や五輪書、古典、哲学、純文学…歩く辞書の異名をとる柳蓮二なら、あるいは。

そんなひとけがない棚を選んで逃げた先で、幸村は可愛く捕まったのだ。幸村が真田をここに誘い込んだといっていい。
だからこの時も、真田はやれるところまでやってしまおうと、誘惑の艶髪に触れた。

「ううん…」

すると、膝を抱えた幸村が小さく否定した。
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