家族のカタチ
跡部が産後の幸村を訪ねた数日前。
幸村は片頬に平手打ちを食っていた。
「あなたが自分で選択したのでしょう?良い選択に塗り替えなさい。そんな顔を景吾に向けないで」
「………」
「景吾が選んだ子だからどんなかと思えば」
「ごめんなさい…」
「ほら、心にも無い事を言って。それでは景吾がかわいそうだわ」
「俺は…」
「自分に正直に、頼る事を覚えなさい。一人で抱え込むのはあの子の嫌いとするところです。これからは二人で選択していくのだから」
瑛子はそっと幸村にハグをして、
「よくがんばってくれましたね」
傍らで健やかな寝息をたてる子の小さな頭をなでた。
その日の夜、幸村の寝顔の腫れた頬を不審に眺めながら、跡部もまた"家族"の一人にほのめかされていた。
「起きとる時に会いに来たらえぇやん」
「今はまだ早い。全員で決めた事だ」
「幸村が決めた事とちゃうで」
盲点を突かれて、忍足のしたり顔と目が合った。
「かわいそうやで。口には出さへんけど、跡部を待っとるのがひしひしと伝わってくるわ。子どもと跡部…必死に天秤にかけとる」
万が一にも子どもに危害があってはならない。
跡部は、無意識に幸村を警戒していた事に初めて気がついた。
「跡部の気持ちひとつやで」
忍足の声が、追いかけるように背中に呼びかけた。
