家族のカタチ
跡部が立海の座敷に通されると、そこに片膝立てて座る幸村がいた。
ゆったりとした着物姿で、跡部の声に少し気だるげに反応を示した。
跡部は傍に寄って両膝をついた。
「…抱きしめてもいいか」
返事より先に、腕にくるんだ。
「どうしたよ、辛気臭ぇじゃねぇの。アーン?」
二ヶ月前、幸村は見事子どもを産み落としていた。
肥立ちもよく、心配いらないと忍足から報告を受けて安心していた。
愛児は柳生のサポートもあって順調に育っている。
晴れやかな気分の跡部に対して、幸村の表情は浮かない。
「どうして会いに来てくれないんだよ」
腕の中で、幸村にしては低い声で不満を口にした。
「Babyには会いに来てたぜ。おまえはまだ疲れているだろうと思って遠慮した」
その方がいいだろうと、立海と氷帝のメンバーと話し合って決めた。
実際、幸村は心と体の変化に多少パニックになった。子どものためにも、なんとか正気を取り戻してもらおうと両家族とも落ち着かない日を送っていた。
こんな状態で跡部に会えば、子どもに関心を示さなくなるのではないか…と。
幸村にどこまで母性が備わっているかわからない。
「あの子ばっかり」
跡部の体を押しやって背中を向けた。
なんとなく、肩に丸みをおびたような気もする。
うなじには、以前とはまた違った色香がただよっているようだ。
跡部は思わず生唾を飲んだ。
(チッ…産んだばかり精市になんて事考えてンだ)
耐えきれず立ち上がると、
「帰るのかい?」
凄みのある声にどきりとする。
「俺の気も知らないで」
いきなり体当たりしてきた幸村をなんとか抱きとめた。
ぎゅうっとしがみついてきた幸村のアソコは、しっかり反応を示していたのは予想外だった。
「ゆき…精市…おまえ」
「したくてしたくてたまらないのに…!でも心…?が、それを拒むんだ。景吾がココに欲しいのに、頭がそれを、あの子が俺を操るんだ。わかってる…かわいいよ、とてもね…」
幸村は着物の裾をからげると、跡部の首に吸い付いた。
