家族のカタチ


土曜日に会うつもりが、幸村からの返事は「しばらく会えない」の一点張りだった。
理由が知りたくて、跡部は立海のある神奈川まで来ていた。
電話をしても出てくれないから、留守電に何度も声を吹き込んだ。ただ、「会いたい」。
普段なら言葉を尽くして想いを伝える跡部が、他に何も思い浮かばなかった。

橋の上から、沈みはじめた夕陽に寂しさを覚えて諦めかけた時だった。
背中に飛びついて来たのが幸村だった。

「…飛び落ちるところだったぜ」

「それを止めようとしたんだよ」

約一ヶ月ぶりの幸村の顔を見つめた。
目の下が少し疲れている。
そこに軽いキスをした。

「何だ。ちゃんと会えるじゃねぇの…」

目頭が熱くなって、暮れなずむ空を仰いだ。

「跡部。好きだよ」

幸村が両手を取って、唇を寄せた。
やがて見上げた双眸(そうぼう)は、どきりとするほど意志が強くて迷いがなかった。
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