こねまわして!愛ス
仁王は変わった。
柳生が変えた。
「仁王くん!ふざけないでください!」
「プリッ」
「いい加減に―--!」
本当に驚いたよ。 他部活の、それもかなりの優等生を勧誘して来たんだから。
天地がひっくり返ったって、巡り会わないような二人じゃないか。 案の定、ダブルスを組んだら、毎日喧嘩してる。
その癖楽しそうに見えるのはなんでだろう。
「柳生~見てみろぃ!」
「?……!?」
「また騙されたンスか?」
「おいブン太…やめてやれよ」
「仁王にもらった~」
「プリッ」
「に、に、仁王くん!!丸井くんもです!」
「ダブルスやろうぜ、ジャッカル!赤也、審判な」
「お断りします!もう仁王くんとは組みません!」
「柳生、よう聞きんしゃい…」
「…組みます」
正直、羨ましい、とか思ったよ。
「まあ、これはこれでいいペアになるな。…ところで弦一郎、いつから禿げ帽子になったんだ」
「…な!いつの間に!仁王ーーー!!」
「私は柳生です!真田くん、鉄拳はあちらに!」
仁王のプレイスタイルが生まれたのは、柳生のおかげだ。 柳生がいれば、仁王の周りには人が集まった。 凹凸コンビは、人を惑わし誘い寄せる。 仁王のテニスの思う壺だ。
そこまで考えて、ダブルスの相手を選出したのなら大したものだ。
でもテニス経験者を選べば、もっと強くなったんじゃないかと欲張るのは、当初の部長としての俺の意見だった。
「柳生じゃなきゃダメじゃき」
ゴルフ部で紳士な柳生を、どうやって説き伏せたのか。
「俺をペテン師にさせたのは柳生ぜよ」
―――ふふ、まさか。
「どうやったら振り向いてくれるか、そればっか考えてたら、手段を選んでる場合じゃなかったき」