こねまわして!愛ス

今日は、仁王と柳生が見舞いに来てくれた。 しょっちゅう来るのは、丸井と赤也。
蓮二とジャッカルは、遅くまで部の留守を預かってる事が多いみたいだ。
なるほど、それが一番安心かもしれないな。 苦労かける。

「口癖じゃき」

「あ」

参ったな。 知らず知らず口に出てる。

「あんまし、好きじゃないの」

「気をつけるよ」

「プリッ」

仁王のやつ。 実はそんなに、レギュラーの中でも、俺と話さなかった。
彼は、いつも一匹狼だった。



以前は、つまらなそうにテニスをしていた。
柳が、「あれは人見知りだな」と推察した。

「技術はあるが、チームワークを乱しては、レギュラーとして置いておくわけにはいかないな」

厳しい事をさらりと言った。

「何より、精市。お前が扱いづらいのではないか」

そうも言った。

「え、やだよ。仁王とダブルスなんて。ぜんっぜん!なに考えてんのかわかんねえし。仁王はシングルス向きだろぃ?」

みんな口を揃えて嫌がった。

「1ヶ月、待っちょってくれんかの…」

ある日、仁王が俺に頭を下げてきた。

「これで駄目じゃったら、諦めるき…」

退部覚悟だという。
つまらなそうにしていても、テニスは好きなはずだと、俺は踏んでいた。
そうでなければ、レギュラーを勝ち取った腕を磨き続けているはずがない。
ただ、足が地に着かないテニスをしていた。

「やっとじゃ」

「やっと、見つけたき……俺のテニス」

その時、熱くなった君を初めて見た。
眼の色が変わったんだ。
それから1ヶ月、仁王は部活に顔を出さなかった。

「たるんどる!けしからん!!」

「このままではレギュラー落ちもやむを得ないな」

―――待ってくれ。仁王を外すのは惜しいよ。もう少しだけ、待ってやってほしい。

俺は、掟に厳しい真田と柳を説得した。

「幸村!たるんどるぞ!」

「…珍しい事もあるものだな。精市が例外を庇うとは。いいだろう。お前と仁王の興味深いデータが取れそうだからな」

「蓮二!」

「まあ、部長が言うのだ。弦一郎」

―――ありがとう蓮二。

「……たるんどるぞ」

―――真田。

「…なぜ仁王を庇う」

―――庇ってるわけじゃない。仁王の可能性に懸けたんだ。部長として。

「好きにしろ」

真田の機嫌を損ねてしまった。
何が仁王をそこまで熱くさせたのか、見届けたいのが半分。 もう半分は、部長の名を借りた真田への興味?
結局この後、部室でめちゃくちゃセックスされた。

「仁王に魅せられたのではあるまいな。許さんぞ」

どうしてそうなるかな。 お前こそたるんどるって、言って返してやりたい。
これじゃあ、俺が部長である限り、身が持たない。 真田の…デカイし。
でも、やきもちして怒った真田の乱暴なセックスが、俺は好きだった。



(あーあ…思い出しちゃったじゃないか。入院してから、全然シテないんだよ…真田…)
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