落花流水〜ハジメテ〜
あまり知られていないが、三ヶ月に一度、関東の中学テニス部部長が親睦を深めるための会合がある。
発起人は跡部で、会場は氷帝学園だ。
この会合では、"自分たち"と"あいつら"という壁や敵対心は抜きだ。
まるでお見合いパーティーのように気になる相手と雑談する。
遊ぶ約束をしたり、練習試合の申し込みをしたりするのは自由だ。
辺りを見回せば、漫画やゲームの貸し借りや、急に腕相撲勝負が始まったり、制服やユニフォームを交換してふざけていたりする。
ビュッフェ形式で食事は贅沢だし、会合は毎回好評だった。部長という鎧を脱いで、みんな楽しんでいる。
人を喜ばせるのが好きな跡部は、満足そうに会場を眺めていた。
そんな跡部には、グラスを傾けながら密かに目で追う人物がいる。
視線が熱すぎたのか、目当ての相手が跡部に気づいて唇だけで笑った。
ーーーこの後
ーーーわかってる
それで通じてしまうくらい、幸村とは深い関係性がある。
