空想よりもおもしろい
「真田は関係ねぇ。それに、お前は今日の事は無かったことにすんのか」
幸村の体に手を出したのだ。それがどんな意味をもっているのか、わからないはずはない。
「え?キミと真田は好敵手だと思ったけど。今日だって真田に喧嘩を売ったのは跡部だろ?真田が規律を破るなんて驚いたよ。何て言って口説いたんだ?」
はぐらかそうとする幸村に、
「ああ、お前の事になるとな。真田も立海のやつらも、うざってぇ」
跡部は真正面からぶつかっていく。もうこれ以上、幸村の戯れに付き合う気はない。
瞳を揺らす幸村に、
「気づいてないとは言わせねぇ。俺はお前が好きだ。そういう意味で、誘ってんだよ」
あの試合で真田を倒した手応えを得た跡部は自信を付けた。
勝者が神の子に近づいて何が悪い。
ベッドに横たわる幸村を見下ろした。そのまま、じっと応えを待った。
告白される事はあっても、告白したことのない跡部は、顔には出さないが酷く狼狽している。
(こんな恐ろしい賭けは初めてだぜ…)
『なんだよ、跡部?』
あの時も同じ状況だった。
ただ、好きだとはっきり言わなかったが、跡部にとっては告白同然で幸村に迫ったつもりだった。幸村は、ただ笑って腕の中をすり抜けていったけれど。
『名前?俺の名前は幸村精市。よろしくキング』
それっきり、跡部と幸村は互いの部の為に部長として頂上を目指して今日まで対面する事はなかった。
「気づいてなかったのはキミの方だろ?」
目の前の幸村は逃げなかった。
それどころか、
「な…」
首に腕をからめられて、そのままキスをされた。
「なにかというと、すぐ立海のみんなのせいにして。やっと言ったと思ったら、すごい上から目線だし。告白の仕方最低」
跡部が口を挟む隙がないまま不適に笑って、
「跡部こそ童貞なんじゃないのか?」
かっと顔中が火照る。
挑戦的な視線を投げる幸村は、薄い唇を横に伸ばして微笑んでいた。
何度もいうが、跡部に対してこうも胆が据わる人物もそうはいない。やはり幸村は、王者立海の部長を務めるだけの男なのだ。
気付けば、形勢逆転された跡部だった。
「あれ、図星?」
まだふざけ調子の幸村に、
「俺の気持ちは伝えた。お前にも、応える義務があるはずだぜ」
「…言ってどうするんだよ」
「それに見合った行動をとるだけだ」
跡部は、心から真剣に幸村に向き合った。この賭けに失敗した後の自分を考えると、正直こわい。
「だから、そんな悲しそうな目をするなって」
幸村の瞳の色に変化があった。 すると、両目をあたたかい掌で覆われてしまった。
「好きだよ」
幸村の体に手を出したのだ。それがどんな意味をもっているのか、わからないはずはない。
「え?キミと真田は好敵手だと思ったけど。今日だって真田に喧嘩を売ったのは跡部だろ?真田が規律を破るなんて驚いたよ。何て言って口説いたんだ?」
はぐらかそうとする幸村に、
「ああ、お前の事になるとな。真田も立海のやつらも、うざってぇ」
跡部は真正面からぶつかっていく。もうこれ以上、幸村の戯れに付き合う気はない。
瞳を揺らす幸村に、
「気づいてないとは言わせねぇ。俺はお前が好きだ。そういう意味で、誘ってんだよ」
あの試合で真田を倒した手応えを得た跡部は自信を付けた。
勝者が神の子に近づいて何が悪い。
ベッドに横たわる幸村を見下ろした。そのまま、じっと応えを待った。
告白される事はあっても、告白したことのない跡部は、顔には出さないが酷く狼狽している。
(こんな恐ろしい賭けは初めてだぜ…)
『なんだよ、跡部?』
あの時も同じ状況だった。
ただ、好きだとはっきり言わなかったが、跡部にとっては告白同然で幸村に迫ったつもりだった。幸村は、ただ笑って腕の中をすり抜けていったけれど。
『名前?俺の名前は幸村精市。よろしくキング』
それっきり、跡部と幸村は互いの部の為に部長として頂上を目指して今日まで対面する事はなかった。
「気づいてなかったのはキミの方だろ?」
目の前の幸村は逃げなかった。
それどころか、
「な…」
首に腕をからめられて、そのままキスをされた。
「なにかというと、すぐ立海のみんなのせいにして。やっと言ったと思ったら、すごい上から目線だし。告白の仕方最低」
跡部が口を挟む隙がないまま不適に笑って、
「跡部こそ童貞なんじゃないのか?」
かっと顔中が火照る。
挑戦的な視線を投げる幸村は、薄い唇を横に伸ばして微笑んでいた。
何度もいうが、跡部に対してこうも胆が据わる人物もそうはいない。やはり幸村は、王者立海の部長を務めるだけの男なのだ。
気付けば、形勢逆転された跡部だった。
「あれ、図星?」
まだふざけ調子の幸村に、
「俺の気持ちは伝えた。お前にも、応える義務があるはずだぜ」
「…言ってどうするんだよ」
「それに見合った行動をとるだけだ」
跡部は、心から真剣に幸村に向き合った。この賭けに失敗した後の自分を考えると、正直こわい。
「だから、そんな悲しそうな目をするなって」
幸村の瞳の色に変化があった。 すると、両目をあたたかい掌で覆われてしまった。
「好きだよ」