桜若葉の下で
四月になった。
女子テニス部は活気に満ちていた。
噂を聞きつけた男子生徒が、ちらほらとテニスコートを囲むようになっていた。
「みんな、動きが悪いよ」
幸村がスコートをひらひらさせてラケットを振れば、わあっと歓声のため息が漏れた。
そんな様子に、真田は食い入るように幸村を見つめ、柳は真相を見据えようと細い目を一層細くさせた。
「ほう…女子テニス部は強くなるな。弦一郎。精市抜きのチーム編制を考えるか」
「幸村は何を考えておるのだ!あれではまるで見せ物ではないか!幸村は女子にはやらんぞ!まずは鼻の下の伸びきった男どもを蹴散らしてくる」
蓮二も来いと誘われて、柳はもう一度コート上の幸村に熱い視線を注いだ。
(弦一郎が熱くなってくれるおかげで俺はなんとか冷静でいられる)
桜はすっかり満開になっている。
