一葉の写真の未来へ


中学最後の関東大会は、青学が王者立海を倒して優勝した。
跡部は、まさかの敗北をした真田に共感を覚えた。奴にとって何があっても勝たなければいけない試合だったはずだ。

『大変だよ。幸村くんの手術が今日らしいよ』

真田の試合を観戦していると、どこから仕入れたのか滝が報告した。
跡部は動揺したが、それなら真田が負けるはずがないと確信した。これで立海の三連覇が決まったも同然だと思っていたのだ。

(ふざけんじゃねェ!よりにもよって一年坊主に負けやがって…!)

敗者となった真田がコートを去るのを追った。

「おい!」

肩をつかんで振り向かせる。

「どうして勝たなかった!テメェが勝たないでどうすんだ!わかってんのかよ…!幸村が…」

渾身の力を込めたつもりなのに、奴はぴくりとも動かないのが余計に癪に障る。

「…何とでも言え。弁明の余地もない。俺は幸村を励ますつもりで殴っておきながら…だが俺が行かねばならない」

声を詰まらせる真田にかける言葉はなかった。
代わりに、カッとなって手が出ていた。

「あいつに殴られたとでも思っとけ。あの体じゃ殴りたくても殴れねぇだろうからな」

「跡部よ…おまえはいつから幸村を」

「てめぇこそ何だ?あいつの気持ちを知らないわけないよなぁ、アーン」

「…俺には無二の友だ。それには違いない」

「幸村は違うぜ。あんな体になってもおまえに笑いかけてンだ。かわいそうだと思わねぇのか」

幸村の秘密のノートに記された真田の名前を思い出す。ぎこちなくも一生懸命にペンを動かす幸村を想像して、跡部はまた切なくなった。

「それでも俺が行かねばならんのだ。目覚めたとき、最初に映るのが俺でなければ」

「アーン?おまえまさか…」

真田の横顔に確かな変化が現れ出て、跡部は不安がふつふつと募るのを感じた。
これ以上会話を続ければ、真田にヒントを与えることになる。

「早く行ってやれ」

跡部はさっさと背中を向けて歩き出した。



その様子を少し離れた所から見ていた越前リョーマが、

「ねえ、大石先輩。立海の部長ってどんな人なんすか。全国で俺とやるんでしょ」

もう決まっているかのように言った。

「おいおい…それはまだ…それに、その頃には手塚も戻って来るだろうから越前が幸村と当たるとは限らないよ」

第一、決勝まで残れるとは限らないのに…こりゃ大変と、大石は頼もしい一年の才能を持て余している。
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