一葉の写真の未来へ


その年の秋、Jr.選抜合宿に参加した跡部は愕然とする。
どこを探しても幸村がいないのだ。跡部にとって合宿の参加意義のひとつが消えた。

合宿も残すところあと一日になったその日、自由時間になるとテニスコートを離れた人物が跡部の目に止まった。

「ああ。変わりはないか。帰ったら、ここで得た経験をおまえにも話して聞かせよう。…夜は冷える季節になったな。体を厭(いと)えよ」

電話を切った真田は、寂しげでいて、でもどこか嬉しそうに伏し目になった。

「彼女か?アーン」

「たわけ。そんなものに現を抜かしているようなおまえと一緒にするな」

この男の存在は跡部をむしゃくしゃさせる。
いつも幸村の隣にいるのが気に入らない。
しかし、この武張った男の存在が幸村を一層華やかに引き立てているのも事実だ。
真田も跡部の存在を快く思っていないのか、これ以上の会話は無用とばかりに行き過ぎようとした。

「幸村はどうした」

聞かずには置けないそのひと言に、真田はわずかに反応を示した。が、行きずりの人の噂話がそれを妨げる。

ーーー立海の幸村は病に倒れたらしい
ーーーこれで来年の大会の行方がわからなくなったな

そこに真田がいるのに気づいたのか、彼らはあわてて口をつぐんでその場を立ち去った。
跡部は真意を探るように真田の横顔を窺う。
奴は、帽子の下で唇を噛んで感情と闘っていた。
その表情は、幸村の容体が好ましくないのを物語っている。

「…わかりやすいヤツだ」

それだけ言い捨てて、その場を後にした。

「おい、萩之介。調べてほしい」

すぐに滝に連絡を取る。
跡部の頭は幸村でいっぱいだった。
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