come home
「で?ゆきちゃんをどうするって?」
「くっそ、…!別にどうもしないけど、笑っててほしいんだよね」
「俺なら笑わしてあげられるね。テ、ニ、ス、で」
「にゃろ…俺だってそうするし!」
リョーマは鋭い角度の打球を放って、南次郎をコートの端から端へ走らせる。
相変わらず年齢を感じさせない南次郎の身のこなしに驚かされる。どこへ打ってもきっちりネットを越えてくるボールが、いつしかリョーマに迷いを生じさせる。
(この感じ…どこかで…)
ボールを追うリョーマの視界に、きょとんとした顔をしている幸村が入った。
「…うまく言えないけど!」
リョーマは片足のスプリットステップで南次郎の打球に早く追いつくと、一気に前へ出て勝負を仕掛ける。
「なんかしたいんだよね。セーイチさんが笑ったり喜んでくれたりするようなこと…!」
驚いた様子の南次郎に隙ができて、最後はドライブBで締めくくった。
「それがテニスだったら一番いいけど」
リョーマは泥はねだらけになっていたが、久々に清清しい気持ちだった。プロとは切り離して本気で"遊んで"くれたことが嬉しかった。
「親父もまだまだだね」
でも、「thank you」と心のなかで伝えた。
南次郎も泥が飛び散った顔でニカッと白い歯を見せた。
「…そういうことだから」
服に付いた泥を帽子で払いながら、幸村を振り返った。
「その顔…意味、わかってるよね」
「おーい、ゆきちゃ〜ん」
ぽかんとしている幸村の顔がみるみる赤くなって、リョーマと南次郎は肩で笑った。
