距離感を教えて
「ココア、まだそんなに残ってるのかい?」
「ああ。肌寒くなるとな、毎月買い足している。おまえが何時来てもいいようにな」
「…冬の間に飲み切れるかな」
「もっとこの家に来ればいい」
頬に唇を当てられて、シャツのボタンを外された。
肌を滑る真田の手が熱っぽかった。
「広い家だ。おまえひとり、いつでも泊まれる」
横倒しにされながらのキス。
炬燵からはみ出した体も、真田が全身を使って温めてくれる。
「どうした?今日はやけに甘えてくれるんだな」
逞しい筋肉の付いた片腕に、ぎゅっとしがみついただけなのに、真田は嬉しそうにしていた。
「…そんな自覚はないんだけど」
「泊まっていけ」
腰に回された手が、ぐいと体を引き寄せた。
その手が次第に、これから始まる行為を予感させる動きをする。
「うン…」
テニスや勉強と違って、これだけはどうにもならない。
真田に逆らわず、かけ離れないようにするのが幸村にとって言いしれぬ悦びだった。
「どうだ?」
大きくて硬くなったモノを下腹に擦り付けながら、真田が言った。
それに触発されて、幸村の気分も高揚する。
「ン…キスして、それから前…もっとして…?」
「幸村…」
何かおかしな事を言っただろうかと、首を傾げて真田を見た。
「幸村…俺は嬉しいぞ!」
「あ!真田、待っ…」
「ここだな?待っていろ。直ぐに良くなる」
「やめ…そんな…」
要求通り、唇を押し付けられて、下半身を弄られる。
「うぅ…駄目だ…」
「欲しいものがあればこの口で伝えてみろ」
真田の親指が唇をなぞる。自然とその指をくわえた。赤ん坊のような真似をしている羞恥心と快感が、たまらなく幸村を興奮させた。
(あぁ…なんて熱いんだ…これが俺の欲情だとしたら)
この濁りを彼に悟られたくない…瞼をきつく閉じた。
けれど耳を澄ませて聞こえた音に、幸村はある事を思い出してすぐに目を開けた。
「待ってくれ。それ…口で開けてみて」
真田は指先を止めた。
前に無意識にコンドームの封をそうやって切った真田の仕草が、幸村の記憶に強烈に残っていた。
「むぅ…」
先を急ぎたい真田のイライラも、幸村の熱っぽい視線ひとつで言いなりだ。
前歯を使って一瞬で封を切った。
「あぁ…もう、それだけでイキそうだ…」
実際、透明の液体が幸村の下半身を濡らしていた。
